㈱フェイス 福永有利子社長の毎号連載「Wプロフェッショナルズ」もついに100 回に到達した。今回は100 回を記念して弊社代表の太田進との対談を行なった。外資系ホテルの日本進出、IR、民泊などホテルを取り巻く環境は著しく変化。ある意味ではホテル業界にフォローの風が吹いているものの旧態依然とした体質やますます悪化している人材不足など、次から次へと押し寄せてくる課題、難問。この変化をいかに乗り切れるか、乗り切るために何が必要なのか、それぞれに国内外の第一線で働き続けてきたからこそ言える業界の在り方を分析した。
福永 Wプロフェッショナルズの連載も100 回を迎えることができました。ホテルやウエディングに限らずさまざまな業界や業種の経営者の方々とお話する機会ができたことは、私にとって財産であり、このような機会を与えていただきましたことに、深く感謝申し上げます。100 回目には、ぜひ太田社長のお考えやご意見をお伺いしたいと思い実現できましたこと、重ねて御礼申し上げます。
さて、今、ホテル業界はまさに過渡期にあります。外資系ホテルの更なる進出や投資会社や異業種のM&A、そして先々にはIR の進出など、これまで日本人や国内企業間で戦ってきた状況から一気に世界に市場が開かれています。目まぐるしい変化や先々の変化を読み取らなければならない状況を経営陣の方々はどのように受け止めていらっしゃるのか、まずはこの現状をどのようにとらえていらっしゃいますか。
太田 今後もますます経営が厳しくなる中で買収や運営委託などが増えることでしょう。ある老舗のホテルが異業種の企業に買収されたとき、ホテルの顧客から“改装したされた後、以前の雰囲気が変わっていたり、なくなっていたら悲しい”という声が多く寄せられたようです。声として寄せられたことは、そのような声をあげてくれる顧客がついていたわけですから、これまでの経営陣に対して、顧客に対してリスペクトをして事を起こしていかなければなりません。あるホテルでは全面建て替えの際に“過去の顧客リストは捨てろ!”と命じた結果、新装オープンの際に大切なお客さまやメディアの招待もれが生じ、信頼回復までに大変な苦労をされたと聞きました。
今後ますます競争が厳しくなる中で、お客さまを大切にすること、傍から見れば旧態依然とした姿に見えますが、お客さまやホテルの歴史にリスペクトしながら新たな一歩を切り開いていくことが大切なことだと思います。次から次へと最先端の技術やAIなどが縁遠いと思われていたサービス業にも投入されてきます。これまで以上のスピードで変化することが予測されます。変化に対応するためにも、経営陣はさまざまな人と出会い、自身の足で情報を収集する努力をしなければなりません。