言語別で分析すると
見えてくること
言語別でクチコミを分析すると面白い傾向が見えてきます。例えば、日本語と中国語のクチコミでは「温泉」に関するコメントが上位にくるのに対して、英語では数がほとんどありません。中国語と英語では、「アメニティ」に関するコメントの割合が高く、スコアも高いのに対して、日本語ではコメントが少なくスコアも低くなっています。「清潔さ」では、英語と中国語では80 点台と高いスコアになっていますが、日本では70 点台と普通です。「快適さ」を見ると全言語で低いスコアとなっています。
クチコミのカテゴリーに関する投稿数で、何を大事に思っているか、何に関心・興味があるかが分かり、スコアで満足度を把握することが出来ます。自社のホテルが、それぞれの言語で何を言われているか分析するのが大事であることはこれで分かると思います。
独立系ホテルが
チェーンホテルと対等に
クチコミにより、独立系のホテルでもチェーンホテルと対等に勝負出来るようになってきています。オンラインのクチコミ情報が無い時代は、家族・友人知人のクチコミ、ガイドブック、旅行代理店のアドバイス、ホテルブランド等で判断していました。その情報には当然限りがありました。それが、オンラインのクチコミによって世界中のホテルの実情を把握することが出来るようになったのが大きな理由です。
独立系のホテルであったとしても、良いサービスを提供しているホテルはクチコミで評価され、選ばれるようになってきています。TripadvisorやOTA により、そのような隠れた名店が表に出るようになってきたのはとても喜ばしいことだと思います。また、UCLA Anderson School ofManagement のBrett Hollenbeck助教授のレポートでは、独立系のホテルがクチコミを10 件増やすと収益に1.7% 貢献するのに対して、チェーンホテルの場合、0.7% に留まったと出ているように、クチコミは独立系のホテルにより効果があります。
ビッグデータとしてのクチコミ
旅行サイト、クチコミサイト、OTA がクチコミを集める理由として、ホテルを予約しようとしているお客様にとって有益な情報であるためですが、今後はもっと大事な役割を果たすようになってきます。クチコミを分析すると、ホテルの特徴が明らかになります。弊社もMeta-Review( メタレビュー)というクチコミのまとめを作成しています。投稿された全てのクチコミを分析した結果出てくるその施設の特徴です。例えば、「夜景が綺麗」とか「朝食が美味しい」というコメントが多く投稿されている場合、それがそのホテルの特徴となります。逆に、「駅から遠い」とか「部屋が小さい」というのも特徴です。これは、実際に宿泊したお客様の感想なので、ユーザーにとっては信頼出来る情報になります。
今後はそのようなホテルの特徴をベースに旅行者が自分のニーズにあったホテルを検索する、またはAI によって旅行サイトが旅行者に提案するというのが可能になってきます。例えば、「家族で海の近くで大きなプールがあるホテル」とか、「彼女と夜景の綺麗なホテルでゆっくり過ごしたい」といった検索は、ホテルの特徴がデータとして蓄積されていけば、容易に候補を絞り込むことが出来きます。既に、海外の大手OTA はそのような開発を行っており、試験的に運用も始めています。ホテルを場所や日付から検索するのではなく、今後はどんな体験をしたいという検索の仕方が主流になり、その際にクチコミが大事な情報源になります。
次回以降は、クチコミの重要性、各ホテルの取り組み、成功事例等のお話をしたいと思います。乞うご期待! ※次回は7 月28 日号掲載予定。
第1回
TrustYou 下嶋 一義 クチコミを味方にして、選ばれるホテルへ
第1回 クチコミのトレンド
【月刊HOTERES 2017年06月号】
2017年06月23日(金)