北村剛史
Takeshi Kitamura
㈱ホテル格付研究所 代表取締役所長
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士、MAI( 米国不動産鑑定士 )
MRICS(英国王室認定チャータードサーベイヤーズ)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。ホテル・旅館の不動産鑑定評価会社である㈱日本ホテルアプレイザルの取締役。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では「ホテル・旅館の人格性、パーソナリティー」をテーマに研究活動に従事
今回は、地域活性化という観点から、東北地方の東日本大震災後の復興状況と被災地におけるホテル旅館マーケットの現状をご報告したいと思います。大震災発生から約1 年が経過した当時、弊社でも被災地において復興に必要となるだろう宿泊客室数の分析を開始しました。甚大な津波被害や原子力発電所事故などが複合的に絡み合う未曾有の大災害を巻き起こした東日本大震災による被害実態は、震災後1 年近くが経過した当時においても充分には把握できていない状況でした。各自治体が行なっている被害額推計についても、調査を重ねるにつれ推計額が増加していく様相を呈するなど、全容把握には至っていない状況であり、その後の調査進捗に合わせて被害額が積み上がっていくことが懸念される状況にありました。
そこで当時当社では、内閣府推計の被害額をベースとして、震災被害の大部分が津波によって引き起こされた事実に着眼し、国土地理院発表の浸水面積比に応じて按分することで、自治体ごとの被害推計額を査定しました。当時、宮城県の被害額が9 兆7600 億円~ 15 兆2500 億円で、単体においても阪神淡路大震災に匹敵するかこれを上回る推計額となっていました。右頁上が当時の推定被害額です。