北村剛史
Takeshi Kitamura
㈱ホテル格付研究所 代表取締役所長
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士、MAI( 米国不動産鑑定士 )
MRICS(英国王室認定チャータードサーベイヤーズ)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。ホテル・旅館の不動産鑑定評価会社である㈱日本ホテルアプレイザルの取締役。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では「ホテル・旅館の人格性、パーソナリティー」をテーマに研究活動に従事
今回はいわゆるラグジュアリーホテルについて、その顧客ニーズ、市場特性と対応するホテルのブランディングについて考えてみたいと思います。
ラグジュアリーホテルの顧客ニーズ
ラグジュアリークラスのホテルを使用したことがあるかと尋ねますと、よく利用するとの回答が9% 程度、たまに利用するが56.9% という結果でした(首都圏、中部圏、近畿圏所在の1000 名に対するインターネットアンケート調査結果)。おおむねたまに使用する人も含めラグジュアリークラスの市場規模は市場全体の10% といったところでしょうか。
次いで、ラグジュアリークラスの施設に関して、ヴィラタイプの施設が良いか、ホテルタイプの施設が良いかを調査しますと、約53% がヴィラタイプ、約47% がホテルタイプとの回答でした。若干ヴィラタイプを嗜好する比率が上回っています。これはターゲット顧客をファミリーと考えるのかなどラグジュアリーホテルを使用する目的に応じて異なるのでしょう。
次いで、ハードウエアの施設構成についてです。どのような施設が求められているのかを調査してみますと、個別露天風呂付きの客室が75.6% と高く、そのほか天然温泉大浴場が58.3%、バーやカクテルラウンジが41.7%、スパエステが40.6% という結果でした。本調査が日本人に対する調査であることから、外国人が求める施設ニーズとは若干異なるものと思われますが、訪日観光客のニーズでも日本食や温泉等の日本ならではのサービスが求められていると考えますと、上記のような日本人の求めるニーズはおおむねそのままインバウンド市場にも支持されるものと考えることができます。