今回のポイント
全時間の11% 以上をイノベーションに、「1/3」or「3 倍」ターゲット活動に充てる“時間の先取り”こそ、われ一番にできる企業変化だ
変化に追われるリーダーのための実践的イノベーションメソッドとして、ホテル業の事例にとどまらず、多く企業変革の現場から生まれた「チェンジング・メソッド」48 種を紹介します。
岡村衡一郎
(おかむら・こういちろう)
1971 年生まれ。亜細亜大学卒。㈱船井総合研究所を経て、2004 年㈱スコラ・コンサルト入社。120 社を超える企業変革を支える。「会社が変わるとは何か」、「人がイキイキ働くには何が必要なのか」を考え続け、「一品」という変革コンセプトを発見、体系化する。支援先の起源や今あるリソースを足場に、「あるもの」から「ないもの」を生み出す一品イノベーションに多くの経営者ファンを持つ。変わるためのテコをあぶりだす「経営者オフサイト」、「『一品』で会社が変わるワークショップ」を主催。著書に『一品で会社を変える』(東洋経済新報社)『30 代でチームのリーダーになったら最初に読む本』(同社)など
イノベーションとは何か。
この質問に対する答えは、技術革新や新商品・サービスの創造などさまざまなものがあると思う。「自分たちでも思いつくアイデアだった」と他社から言われるのが、イノベーションへの最高の賛辞だとドラッカーは言った。起こったできごとを遠くから見ればそうかもしれない。
思いつけるようで思いつけない例として、無印良品とスターバックスがある。無印良品は“訳あって安い”というコンセプトを起点にあらゆるジャンルに広げて、ブランドがないことをブランドにした商品革新。スターバックスは、セルフでも心地よく“ 屋外でお茶をする”スタイルも当たり前にしたサービス革新。外から見れば、自分たちもできたと思われるイノベーションであると同時に、近寄ってみれば偉業であると分かる。
無印良品が世に出てくる前、デザイン性を重視した生活をするにはそれなりに費用がかかった。ところが、ブランドのないことがかっこよく、費用を1/3 に抑えられるという新ジャンルを拓ひらいたのである。