一般社団法人日本ホテル協会 会長 小林 哲也 氏
「週刊ホテルレストラン」創刊50 周年、誠におめでとうございます。
1966 年、時代の要請に応えて、オータパブリケイションズの創業者である太田土之助氏は「ホテルレストラン」誌を創刊されました。その年の日本経済は、1964 年の東京オリンピックの翌年に起きた一時的な不況から脱し、景気が上向いてきた年であり、わが国の人口が初めて1 億人を突破したエポックメイキングの年でもありました。
ちなみに、私が㈱帝国ホテルに入社いたしましたのは1969 年ですので、ほぼ同じ時代を「ホテルレストラン」と共に歩んできたことになります。最初は隔週刊や月刊で発行されていた「ホテルレストラン」は、1972 年から「週刊」となり、その頃からホテルマンの愛読誌となっていったと思います。
ここで、創刊当時から現在に至るまでのホテル業界の50 年間を振り返ってみたいと思います。
「ホテルレストラン」が誕生してからの5 年間の日本経済は、右肩上がりの2 桁成長が続き、大阪万国博覧会が開催されるなど、高度成長が続いておりました。
ホテル業界も例外ではなく、全国各地でホテルが開業するなど、第2 次ホテルブームとも呼ばれるほどの活況でございました。
その後の日本経済は安定成長期に移り、ホテル業界は拡大基調を続けておりましたが、バブル経済の崩壊後の1990 年代以降は、長引く景気の低迷と円高、デフレ経済により、約20 年もの間、長く厳しい時代となりました。
2012 年にアベノミクスの始動により、円高が是正され、デフレ脱却に向けた政策の発動、政府挙げてのインバウンドの推進、そして2020 年に再び東京でオリンピックが開催することが決定するなど、この数年でホテル業界を取り巻く環境は劇的に好転したと言えます。
訪日外国人観光客数は2013 年には1000 万人を超え、たったの3 年間で、2015 年には2000 万人に手が届くところまで急増し、初めて出国日本人観光客を訪日外国人観光客が上回るという状況にもなり、「宿泊施設が足りない。」と言われる状況まで回復してまいりました。
このように改めて過去50 年を振り返ってみますと、良い時もあれば、暗く厳しい時もありました。ホテル業界の動向を、常に一番近くで見続けてきたのが、「週刊ホテルレストラン」といっても過言ではありません。
国内外のホテルの最新トレンドやニュース、そして、その時々のトピックスを独自の視点で分析をし、ホテル・レストラン業界に向けて大変有益な情報として発信してこられました。
あらゆる情報はインターネットから収集できる時代となった今だからこそ、専門誌としての高い意識と知見をもった「週刊ホテルレストラン」だからできる、確かな情報をご提供いただき、これからも私どもホテル業界の良き道標でいていただけるよう期待しております。
最後になりましたが、「週刊ホテルレストラン」のホテル業界への多大なる貢献に感謝を申し上げるとともに、ますますのご発展をお祈りいたします。
一般社団法人日本ホテル協会
http://www.j-hotel.or.jp/