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第1回 超実践的InboundTourism 「おもてなし」と多様化する 市場への備え

第 15 回「 間際型と衝動型」市場への取り組み

【月刊HOTERES 2015年05月号】
2015年05月08日(金)
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「間際型市場」
 
 これまで観光業界、旅行業界には、一つの市場を表す言葉として「間際型」というものが存在し、一定の存在感を放ち取り組まれてきた。この考え方は「観光学」という学際的な勉強をされる大学の授業現場でも旅行会社OB の先生たちによって使われる、重要なワードになっている。まずは、この間際型という言葉の性質であり意味というものをここに書き記しておく。
 そもそも観光業界、旅行業界で使われる「間際型」という言葉が示す「市場」は、その言葉が示すとおり、旅行を決めるに至るプロセスが催行間際になって参加を決定するという人々が存在する市場を指して使う言葉だ。
 この場合、催行までの期間がおおむね「1 週間~ 2 週間」程度に差し迫った状態で使われることが多い。
 また中国の春節、イスラーム教のラマダーン開けの休暇という、特定の長期休暇にあわせ、意図的に間際型市場に向けて訴求するという手法も見られる。
これらのことからもご理解いただけるように「間際型」という言葉が指すものは「旅行出発前」のスリーピングユーザー掘り起こしに向けて使用される言葉となり、使用するのは「旅行会社」をはじめとする観光業界に限定される。が残念なことに、ことインバウンドツーリストが急激に増加している今日においてはこの「間際型」という言葉だけで市場をつかみきることはできなくなっていることに気付く必要がある。その根拠が「FIT」化だ。
 昨年の訪日旅客数は1340 万人を超えているが、このうち60%が「FIT」個人旅行者であることは業界に身を置かれる皆さんならご存じだろう。観光業界においてこの個人旅行市場においては旅行構成資源であるところの「宿」「交通手段」「食事」「観光コンテンツ」
においてのみ間際型市場という言葉の存在は意味を成すことになる。すなわち、旅行会社にとって「FIT」市場においては間際型市場から受ける果実は極めて限定的なものになるであろうことが容易に予測されるのだ。

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