ヘルスツーリズムをビジネスとして成立させることは、観光立国化を目指す日本にとって重要な意義を持つ。現状では、まだまだ大きな経済効果を挙げているところは少ないが、ヘルスツーリズムに地域を挙げて取り組んでいる事例は増加している。今回は、医療界ではアンチエイジング医療・予防医療の権威として知らぬ者のない久保明先生に意見を聞いた。
久保 明(くぼあきら)
医学博士/医療法人財団百葉の会 銀座医院院長補佐・抗加齢センター長/常葉大学健康科学部教授/東海大学医学部医学科客員教授/厚生労働省薬事・食品衛生審議会専門委員/新潟薬科大学客員教授/内分泌・糖尿病専門医/日本抗加齢医学会評議員/日本総合健診学会審議員/日本臨床栄養協会理事
〈プロフィール〉
1979 年慶應義塾大学医学部卒。同年東京都済生会中央病院内科入局、その後91 年東京都済生会中央病院内科副医長就任などを経て96 年高輪メディカルクリニックを設立院長就任。その後2002 年日本抗加齢医学会理事就任、05 年亜細亜大学客員教授就任、06 年東海大学医学部 抗加齢ドック教授就任、13 年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授などを経て現在にいたる
日本のヘルスツーリズムの現状と課題感についてお聞かせください。
現在国は全力を挙げて、国民のセルフメデュケーションへの意識を高めるプロパガンダを猛烈な勢いで行なっています。そして、疾病予防に資するサービスを提供する民間事業者によって構成される健康寿命延伸産業の創造に必要な制度改革など、環境整備を進めています。ヘルスツールズムは、国にとっては健康寿命延伸産業の一形態として医療費抑制に資するものであり、地方再生のための手段の一つという位置づけ。消費者にとっては健康的で美しくあるための自己投資の対象との位置づけです。ビジネスとして成立させるためには、消費者が投資に値すると判断するだけの魅力ある商品であることが不可欠です。