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第10回 木村滋久のNZワイナリー日記

第10回 「キムラセラーズヒストリー その5 —新路—」

【月刊HOTERES 2016年01月号】
2016年01月22日(金)
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ヴィラマリアワイナリーの入口
ヴィラマリアワイナリーの入口

醸造担当への第一歩
 ヴィラマリアの醸造担当募集に出会ったとき、私は「ブドウ栽培のプロフェッショナルを目指し、今の場所で更なる精進を目指すのか?」「醸造仕事の経験を積むため、他ワイナリーへの転職を選択するのか?」、そんな分岐点に立った気がしました。ただ醸造チームの社員には、未経験ではなれないと言われており、当時ほとんどの醸造家たちにとって、最初のステップは収穫期の短期契約だったと耳にしていましたから、悩んだ末、ヴィラマリアへ履歴書を送ることを選択。結果、ワイン醸造学の学んでいたことが評価され、短期契約での仕事を任されることになりました。ここから、将来はどこかの醸造所で社員として雇ってもらえる人材となることを目標に、クロ・アンリでの社員としてのポジションを諦め、ワイン醸造担当として新たな道を歩み始めたのです。
 
 ヴィラマリアでは一つのブドウ品種から①リーズナブルな価格ワイン、②中間クラス、③リザーブ、④単一畑セレクションの、4 種類のワインが生産されます。収穫期の醸造仕事に携わることで、それらのワインがどう仕込まれるのか、そして、そのブドウが育った地域の気候や土壌の持っている可能性を、収穫された果実を潰す工程から見ることができました。タンクに貯蔵されたジュースの発酵が始まり、ワインとなるまでの味の変化を仕事の中で観察できる。それは、栽培担当として働いていたころには得ることのできなかった体験であり、一つ一つの作業に心躍る新しい発見の連続でした。

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