「ありがとうございました」の矛盾
今年真っ先に取り上げた「失礼します」の次は、感謝をするふりしてホテル側から先に、お客さまと縁を切るような「ありがとうございました」の矛盾である。どこのホテルもおもてなしが一番大事と言いながら、この世に誕生以来誰一人接客用語を変えようとしないどころか、なんの疑問も持たないで今日まで使ってきたというのが不思議である。でも世の中、最初に出回った機器類を見ると、そのときはとても素晴らしい商品や製品であっても、時間の経過と共にその時代に合わせてさらに進化させている。例えば昔家庭に電話機は1 台だったのが、今では携帯電話やスマホが開発されて一人1 台の時代に変わり、ビデオ、DVD、ブルーレイと進化を続けている。つまり現在の機器類はすべて通過点に過ぎないのに、なぜか大切な接客用語だけ誰も手を掛けてこなかったのは、携帯電話・スマホ・ブルーレイは開発する度に大金が転がり込むが、接客用語を変えても一銭のお金にもならないから誰も面倒臭がってやらなかっただけである。何度でも言うが、感謝に最初から終わりが設けてあったら本気の感謝とは言えないのである。さあリーダーの皆さん、これでもまだ「ありがとうございました」と今年も言い続けますか。
第 86 回
鈴木 忠美の 次世代リーダーたちに贈る メンタルケア術これからの人材育成
第 86 回 「自分力を高める」
【月刊HOTERES 2016年01月号】
2016年01月22日(金)