2024/05/16 著者:ヨー・シューフーン(Yeoh Siew Hoon)
(原文)https://www.webintravel.com/letter-from-tokyo-the-human-machine-and-tradition-innovation-dance-unfolding-in-japan/
翻訳:シュタインハウザー 里美(Satomi Steinhauser)
インバウンドラッシュと海外旅行の低迷。最新テクノロジーと旅行者が形づくる旅の未来 - 日本はどうなる?『WiT Japan & North Asia 2024』で全てが明らかになった。
世界中で現在進行形の人間とテクノロジーの二重革命を観察するのに、今の日本ほど適した場所はないだろう。この国は、伝統とイノベーションが他のどこよりも見事に共存している場所だ。
訪日外国人旅行者のインバウンドは急増し、一方で海外旅行のアウトバウンドは伸び悩んでいる。日本の旅行会社やツアーブランドは、国内に留まるかグローバル化するかのせめぎ合いに巻き込まれたままである一方、グローバル大手の旅行ブランドは規模を拡大し、国境を越えるビジネス拡大に何の抵抗もない。次世代テクノロジーが世界を席巻すると同時に、異なる行動や願望を持つ旅行者の新しい波が旅行需要の未来を形成しつつある。
世界で最も利用者の多い空港ランキング(国際空港評議会の2023年暫定ランキングによる)で、1年間で16位から5位へと最大の躍進を遂げた羽田空港に到着すると、インバウンドの急増を実感する。
列はとても長く、到着と税関の電子申告書を記入し、QRコードを入手したにもかかわらず、少なくとも人間による5ヶ所のチェックポイントを通過しなければならなかった。係員は蛇行する列をできるだけ丁寧に通過させようとしたが、(よく言えば)彼らが強く指示することをためらっていたため、そのプロセスはさらに長くなった。というのも、群衆を適切にさばくためには、ある程度の強い対応が必要だからだ。
タクシーの運転手はとても親切で、到着時のストレスを和らげてくれた。彼は私に、メーター計算の乗車料金ではなく、空港からの定額タクシー料金の方が安くなるので、それを適用すると言った。「政府からの観光客に対する歓迎なんです」と彼は安心させるようにうなずきながら私に言った。新宿歌舞伎町の歓楽街にあるホテル、ベルスター東京に着いたのは午前1時だった。そして、運転手は私の荷物を運ぶのを手伝いながら「この辺は危険なエリアなので、見知らぬ人にはついて行かないようにしてくださいね」と、親切に教えてくれた。
私は非常に安心した。亡き父が私に語りかけてくれているような気がして、とにかく私は見知らぬ人にはどこへでもついていかないと言いたかった。しかし、東京で危険について警告されたのは、これまで何度か東京を訪れた中で初めてのことだった。私は、東京は自分の性別に関係なく、旅行者として最も安全な都市のひとつだと思っていたからだ。
HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel とBELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotelの2つのホテルを運営する東急ホテルズの総支配人ニック・ニシカワ氏は、この地域が持つ意味合いをよく理解しており、開業以来、彼とチームはこの地域に対する認識を変えようとしてきた。
「危険だと思っているのは地元の人たちですよ」。彼は続けて「ゲストは皆ハッピーで、オープン以来、当ホテルは常に満室です」と言った。確かに、外出中に不安や危険を感じることはなかったし、ホテルには世話を焼きたがる人間がたくさんいて、むしろ安心できる場所だった。
歌舞伎町タワーに韓国のボーイズバンドを見に集まった群衆: 訪日観光客の最大のターゲット市場は韓国だ。