店舗内観。天然素材とアイアンテイストを組み合わせたデザインに“ネオ粋”を感じる
またひとつ、東京に新たな“it restaurant”が生まれた。香港の人気店「CENSU HONG KONG」を率いる佐藤峻氏サポートのもと、東京店代表の金須郁幸氏が牽引する「CENSU TOKYO(以下、「CENSU」)」が7月24日、神宮前にグランドオープンした。店名の「CENSU」には“センス”、“第六感”などいくつかの意味が込められているというが、店舗ロゴにある扇子のごとく、さまざまな才能が同店を要として扇子のように広がるユニットとして店を展開していくというコンセプトもあるという。そのコンセプトのごとく、同店では佐藤氏、金須氏を中心に作り上げられる料理を松岡善之氏がデザインした空間が受け止め、三木小夏氏が率いるサービススタッフがお客さまとのコミュニケーションと共に唯一無二の時間へと昇華し、開いていく体験ができる。
店舗外観。 “WABISABI(詫び寂び)”をテーマに、CENSU デザイナーの松岡善之がデザインし、「Yard Works」による植栽を配したエントランスをバックに創業メンバーたち
ちなみに同店の料理は、フレンチをベースに和洋中の食材や調味料、そして技法を佐藤氏、金須氏の感性(=“センス”)に呼応させながら生み出されたフュージョンだ。中でも筆者が彼らの只者ではなさ、そして料理人としての可能性を感じたのが、八角やウイキョウといった個性の強い食材を程よいエッセンスとして使いこなしてしまう点だ。しかもこれらを和の食材の繊細な味わいを活かす形で使っており、今後、どのようなメニューが誕生していくのか? と、何度でも足を運びたくなるワクワク感を感じさせる。また、それら料理にペアリングすべく提案される、ヴァン・ナチュールのセレクトが秀逸だ。ヴァン・ナチュールというと好みが分かれがちだが、「CENSU」が提案するそれは非常に飲みやすく、物によってはヴァン・ナチュール観が変わるものもあり、ぜひ試してもらいたい。
このバランスを取れるのが技術なのか? センスなのか? それとも両方なのか?
いずれにしても今後の展開が本当に楽しみなレストランが誕生した。
最後に改めて伝えたい。冒頭、筆者は同店を“it restaurant”と評した。そのココロは、こんなにカッコいい空間を“食、サービス、室礼、空気感”をもって表現できる日本人たちがいるのなら、日本もまだまだいけると思えるほど彼らが“クール”だということだ。同店は香港同様に早晩、予約の取れない人気店になるだろう。興味のある読者はぜひとも、すぐに足を運んでもらいたい。
「CENSU TOKYO」
https://censutokyo.com/official
担当:毛利愼 mohri@ohtapub.co.jp