店舗内観。同店は、主に個室会席のスタイルで展開してきた同社が初めて、カウンターのみの店舗として開業した
銀座を中心に「個室会席 北大路」など多くの飲食店を展開する大東企業㈱が、季節ごとにコンセプトが変わる隠れ家カウンター割烹、「北大路倶楽部」を銀座八丁目にオープンした。
同店は“未来の料理長”を目指す次世代の料理人が、存分に挑戦をできるステージを用意したいとの思いから起草され、カウンター10席という形で作られた。このステージで挑戦する料理人は社内のみならず、社外にも広く門戸を広げ全国から募集する。第一弾としてスタートした“石垣牛”をテーマにしたクオーターに挑むのは尾上勝氏と津田浩一氏の2名。
ところで今回、なぜテーマが石垣牛になったかというと、話はコロナ禍にさかのぼる。もともと出荷数が年間750頭と少なく、そのほとんどが島内で消費されていた石垣牛だが、コロナ禍で島への観光が激減したことから生産者が苦境に立たされた。その際に積極的な取り扱いを同社がしたことから信頼関係ができ、需要の回復後も安定的な仕入れができるようになったという。そこで、“同店のこけら落とし”ともいえるファーストシーズンのテーマとし、“おまかせ肉割烹”コースを作るにいたったそうだ。今回、次世代料理人のチャレンジをテーマとして開業した同店だが、料理の腕とクリエイティビティは銀座で勝負するに十分な実力であり、いずれの料理も独創的で遊び心があり、味もおいしい。素材の良さ、そして活かし方がうまいからか、牛肉のフルコースではあるが食後感がとても軽いのだ。カウンターオンリーの店舗ではあるが、気心の知れた関係であれば接待の席にも適うクオリティだといえる。
昆布締めにしたボタン海老と石垣牛をコラボさせた“和牛巻き”。上にのせるキャビアは別添えで一人一缶提供され、プレゼンテーションも銀座クオリティだ
ちなみに、本連載既報の「GINZA SUSHI BANYA KAI」同様に、同店でチャレンジした料理人には、将来的には同社が海外で展開する店舗でのチャンスも可能性があるとのこと。年内には同コンセプトのカウンター割烹をタイ・バンコクで開業する予定もあり、海外で和食の料理人としての活躍を希望する料理人には、ぜひともトライしてもらいたい環境だ。
「北大路倶楽部」
https://www.daitohkigyo.com/kitaohjiclub-open/
担当:毛利愼 mohri@ohtapub.co.jp