- 「ラグジュアリー・バイブル」
発行人 - 中山清美 プロフィール
世界的に有名なゴージャスクルーズ「クリスタル・クルーズ」を愉しんでいだ時のこと。私の部屋のふたつ隣りの部屋に、気になる老婦人がいらっしゃいました。彼女のことはスタッフから聞いて存じておりました。1年の3分の2以上を船の上でお過ごしになるという優雅なお方、それなりのお歳なので、パートナーはなし、いつもおひとりでの旅です。ご自宅はシドニーにある某超高級ホテルの一室とか。でも、ホテルでは船の上のようにクルーがいつでもお世話してくれるというわけには参りません。だから、いつも船に乗っちゃうんだそうです。当然、クルーはみな顔見知り、普通はお客様をクルーが「お帰りなさい!」とお迎えするクリスタルなのですが、このご婦人はクルーよりも長く船に乗っているから、数か月おきに交替で戻ってくるクルーに「お帰りなさい!」。晩餐のあと、軽やかにクルーとダンスをなさるそのお姿は誠にしなやかで、クルーズライフを心底満喫していらっしゃる。お金はかかるでしょうけれど、お歳を召しても愉快に長生きするには最高の「群れない贅沢」のひとつでしょうか。
そんな素敵なクルーズライフについてはまたの機会に詳しく書かせていただくとして、初回の本稿では「群れない贅沢」を標榜してホテルライフを愉しむには、何が重要かということについて考えてみました。
これまで「群れない贅沢」を信条に、旅の間、ひとり(或いはふたり?)の時間をいかに愉しむかを追究してきました。友がいて人生は何倍も楽しくなるのは当然のことですが、あえて個人の時間を愛しむのもまた好し。日本人の旅行も近年、団体旅行よりは個人旅行を好む傾向が顕著です。殊にその最先端を行く方々は、それぞれにご自分の好みのリゾートなり隠れ家的なホテルをお持ちのはず。俎上に挙げるホテルをすでに経験済みの方々もいらっしゃると思いますが、ご一緒に「群れない贅沢」を楽しんでいただければと思います。