強固な文化とトップ 1%への思いがスタッフたちを呼び戻した
----先ほど ADRの上昇についてお話をいただきました。コロナ禍を経て、多くのデスティネーションで ADRが上昇しています。特にラグジュアリーホテルの領域ではそれが顕著であり、これは日本のホテルも学ぶべき良い傾向だと感じています。一方で、エネルギーコストや食材原価などさまざまなコストが上昇している背景がありますが、その状況はいかがでしょうか。
おっしゃる通りでホテルは単価を中心に売り上げが回復していますが、一方で電気代やランドリーのコスト、そして人件費などさまざまなコストも上昇しており、利益ベースではほぼ変わらない状況です。
----世界的な傾向として、どこのホテルやレストランでも人材不足が顕著です。それを理由に十分に稼働できないというホテルやレストランもあります。ザ・リッツ・カールトン・レジデンスワイキキビーチの状況はいかがでしょうか?
多くのホテルやレストランではコロナ禍を経て多くの人材が離れていってしまいました。それはハワイにおいても同様です。ところが、私たちのホテルは幸いコロナ禍以前と比較して約 9割のスタッフが戻ってきてくれています。もともと働いてくれていたスタッフ、一度リタイアしたしたけれども改めてこのホテルで働きたいとやってきてくれたスタッフ。そのおかげで、私たちのホテルは戻り来る需要にもしっかりと対応できています。
----多くのスタッフたちが戻ってきている、これは非常に興味深い話です。それはハワイのどのホテルも同じ傾向にあるのでしょうか。
いえ、ホテルによって異なります。特にザ・リッツ・カールトン・レジデンス ワイキキビーチは多くのスタッフたちが戻ってきてくれていると感じています。
私たちのホテルではこのハワイ、ワイキキエリアでトップ1%のホスピタリティーを持ったホテルになろうと2016年の開業時から取り組んできました。そのためには、たくさんの優秀なスタッフが必要です。それを実現するために、私たちのホテルではザ・リッツ・カールトンの文化の浸透やトレーニングに大量の時間を費やし、ここにしかない文化を創り上げて来たのです。だからこそ、旅行需要が戻ってきた今、「また働きたい」とやってきてくれているのだと感じています。
----これからの展望について教えて下さい。
先ほどもお話をしたように、私たちは開業以来このエリアでトップ 1%のホスピタリティーを持つホテルになろうと考えてきました。そのためにザ・リッツ・カールトンの企業文化の浸透や人への投資などを行なってきた結果、現在があります。私たちはこれを磨きつつ、一方で、SDGsへの対応など変化するお客さまのニーズに対応したり、魅力ある施設を維持するためのリノベーションを行いながら、改善と進化を積み重ねていきます。