コロナ禍からの復活
----コロナ禍では世界中の多くのホテルが苦しみました。特に島外の需要に依存するハワイエリアはその影響も大きかったと思います。その後欧米を中心としたリベンジ・トラベル需要などマーケットが回復してきている印象ですが、ザ・リッツ・カールトン・レジデンスワイキキビーチの状況を教えていただけますでしょうか?
2020年の 11月よりハワイ州の事前検査プログラムが開始され、徐々に島外
からのお客さまをお迎えするようになりました。特に日本のお客さまに向けては2022年 7月にご滞在費から 200米ドルを割引くか、館内のレストランやスパなどのアクティビティにご利用いただける 200米ドルのリゾートクレジットをプレゼントするという「日本の皆様、おかえりなさい」プランを期間限定で発売したのですが、これが大変ご好評をいただき、プランの申し込み期限と宿泊期限を延長するまでに至ったほどです。
ワイキキのホテル市場としてはラグジュアリーセグメントのホテルの方が早期に回復をしました。コロナ禍で抑えられていた旅行への欲求が強かったのももちろんですが、ワーケーションなど働き方の多様化もその背景にはあったと感じています。その結果、平均滞在日数もコロナ禍以前と比較して伸びています。また、以前と比較すると年齢層は若い方が増えました。
コロナ禍以前と比較するとADRが大きく伸びていますね。ザ・リッツ・カールトン・レジデンスワイキキビーチでは 2019年比で ADRは約 30%ほど上昇しています。ほかのワイキキのラグジュアリーセグメントのホテルはどのホテルもADRがコロナ禍以前よりも上昇している印象です。
----コロナ禍以前と比較して、ゲストの滞在のスタイルなど変化は見られるでしょうか?
表面的にはさまざまな変化がありました。例えば、クリンリネスに関しても、コロナ禍以前はクリンリネスはどちらかというと積極的に表に出すべきものではありませんでした。しかし、コロナ禍を経てホテル側はお客さまの安心のために積極的にそれを開示するようになりましたし、お客さまもそれを気にされるようになりました。安心・安全な滞在環境への取り組みを透明化することに私たちは多くの努力をしました。
また、コミュニケーションのあり方も変化したように感じています。以前と変わらず直接のコミュニケーションを好むお客さまもいらっしゃれば、そうでないお客さまもいらっしゃいます。そうした多様化したコミュニケーションの手段を通じてお客さまのご要望をいかに把握し応えるか、これはホテルにとって新しいチャレンジです。
また、お客さまが以前と比較して客室で過ごす時間が増えたようにも感じています。レストランで食事をするのではなく、テイクアウトして客室でお召し上がりになるお客さまが増えました。
これらのように、表面的な変化でホテルが取り組むべきことは増えましたが、一方で、安心や安全、快適な滞在など、本質的な部分でお客さまが求めるものに変化はないという印象です。