主力の九州マーケットは韓国などからのインバウンド需要増を機に回復基調に
---- JR九州ホテルズの概要について教えてください。
JR九州では、JR九州ホテルズ(株)、JR九州ハウステンボスホテル(株)、JR九州ステーションホテル小倉(株)、(株)おおやま夢工房の 4社でホテルセグメントを構成しています。その中核となるのが JR九州ホテルズです。もともとは旧国鉄がJRになった際に、鉄道以外の事業を広げるべくホテル業に取り組もうと考えたのが発端でした。現在は駅立地という自らの財産を生かして九州各地の主要駅に展開するほか、東京、沖縄、京都などにも進出しております。ブランド構成は宿泊主体型最上位クラス「THEBLOSSOM」を 4施設、宿泊主体型中位クラス「JR九州ホテルブラッサム」を5施設、宿泊主体型「JR九州ホテル」を 4施設、このほかリゾートホテル「JRホテル屋久島」と温泉旅館「竹と椿のお宿 花べっぷ」を展開しております。
----角谷社長のこれまでのキャリアも教えていただけますか。
JR九州に入社後、当初は旅行業に従事しておりました。その後、JR九州グループが運営するゴルフ場の支配人なども経験しました。2016年に JR九州ホテルズに所属し、2018年から 4年間はおおやま夢工房が手がける大分県日田市の旅館「奥日田温泉うめひびき」の運営に携わりました。そして 2022年 6月末より現職を務めております。
----コロナ禍を経て、九州エリアのホテルの現状はいかがですか。
コロナ禍で福岡は深刻でしたが、それ以外の地方都市は意外にも堅調でした。その理由としてそれぞれの都市にホテル数が多くなく競合が少ないこと、駅立地であるということなどが挙げられるでしょう。
福岡の現状は、エアラインの復活に比例して特に韓国からの戻りが早かったと思います。「THE BLOSSOM HAKATA Premier」ではインバウンド比率が 3割を超えるようになりました。以前のインバウンドは団体客が多かったのですが、いまは FITでかつ少しお金に余裕がある層が最初に動き出したように感じます。そのため安売りせず極力強気の価格で販売しようと考えております。
----貴社は比較的早い段階で九州以外の東京や那覇にホテルを出店されているのも特徴的だと思いますが、その理由は。
当社では佐賀県を除き、九州内のすべての県庁所在地にホテルを構えました。そして次の段階として九州以外の東京などの主要都市にどのように展開していくかを早くから考えておりました。実は、ホテル業よりも前に JR九州が飲食店「赤坂うまや」を東京に出店しており、九州内で縮こもっているよりどんどん外に出ていこうという方針なのです。
当社が九州以外に初出店したのは「JR九州ホテル ブラッサム新宿」だったのですが、新宿は JR東日本さんの本社がある言わばお膝元です。最初に JR東日本さんにあいさつに行ったときはびっくりされましたが、懐の深い応対で出店が実現しました。
----新宿に出店したことで東京での JR九州ホテルズの認知度が上がったのではないでしょうか。
楔を打てたことは間違いないと思います。もともと九州から旅行やビジネスで東京にいく方が大勢いるので、そういった方が定宿として使ってくれるケースが増えました。また、逆に東京のお客さまが九州に来られたときにも親近感を持ってJR九州ホテルズをご利用いただけるきっかけになったと思います。