昨今ではホテルを取り巻く外部環境に好材料が揃い、2012年以降当該利回りは低下傾向を強く示していましたが、20年から発生いたしました新型コロナウイルス感染症の影響を受け、キャップレート水準が上昇に転じました。19年 11月調査結果と今回21年 5月調査結果を比較しますと、賃貸に供されているホテルに対するキャップレートで約+0.89%でした(2019年 11月 4.94%から21年 5月5.83%)。
リーマンショック時におけるキャップレートの変化と比較しますと、07年 11月から08年 11月の変化で+1.63%であり(2007年 11月5.33%から08年 11月6.96%)、今回のコロナ禍ではキャピタルマーケットの影響が前回より低いためか、変動幅はリーマンショック時の方が大きいという結果でした。キャップレートが低下すれば、仮にホテルや旅館の価値が収益性で決まりかつ純収益が一定であるとすれば上記収益価値の計算式よりホテルの市場価値は上昇することになります(上:事業収支前提キャップレート、下:賃貸収支前提キャップレート)。
2021年7月16日号 新しい視点「ホテルの価値」向上理論 ホテルのシステム思考
第452回 アスターコロナ時代のホテル旅館のキャップレート調査 (15)
【月刊HOTERES 2021年07月号】
2021年07月15日(木)