客室や小宴会場を活用した「個室プラン」が好評
---2020 年4 月に発令された緊急事態宣言にともない、全国的にホテルは大打撃を受けました。みなとみらいは海を間近に感じるアーバンリゾート的なエリアとして約30 年前に誕生しました。始めに横浜のホテルにおける市況と御社の現状をお聞かせください。
横浜のホテルにおいては依然として非常に厳しい状況に変わりはありませんが、2020 年4 月に発令された1 回目の緊急事態宣言時より、週末の稼働は徐々に戻ってきています。なるべく接触を避けて移動、滞在できるクローズ感を求めていらっしゃるお客さまが多く、都内近郊や県内からのレジャーゲストが中心です。また、当ホテルでは人気のアフタヌーンティーを客室や小宴会場などの完全個室でお楽しみいただけるプランが好調です。仕事を兼ねたステイケーションやデイユースプラン、マンスリープランも引き続き需要があります。
---メインダイニングは平日のランチタイムも賑わっていました。
レストランに関しては平日ディナーの自粛ムードは歪めませんが、週末になるとランチタイムは満席になるほどお客さまの利用が戻ってきている状況です。コロナの感染状況をみながら判断されているのでしょう、直近で入ってくる予約が多く、以前よりもさらにリードタイムが短くなっています。メインダイニングの中国料理「カリュウ」は緊急事態宣言下では週末のみの営業としましたが、31 階からの見渡す景観の良さと個室需要の高まりもあり、ご家族やカップルでの記念日利用や顧客を中心に賑わっていました。ラウンジのアフタヌーンティーはコロナ禍においても好調をキープしています。また、ドライブスルー形式で受け取れるテイクアウトも根強い人気です。
一方で、宴席はレストラン以上に自粛ムードが根強く、医療系学会等でのオンライン講演やハイブリッド式でのご利用がほとんどです。しかし最近はオンライン講演では理解しにくい医療に関する情報を、リアルで収集したいという地方都市のドクターがリアルな学会に参加する傾向もあるようです。
2020 年10 月に決断した企業間出向事業
---コロナ禍において、いち早く業務内製化やマルチジョブの推進、企業間出向事業を導入されたとお聞きしました。なぜ、素早い決断をすることができたのですか。
ホテルに隣接した国際会議場(パシフィコ横浜)の予約状況から察知しました。1 年、2 年先の医学会や国際会議場の予約状況に変化が見られたのです。当ホテルは良くも悪くも国際会議の動きと連動しているため、海外から多くの人が訪れる学会や展示会が中止や延期になっているということは、コロナ感染症は想像以上に厳しい状況をもたらすと判断し、2020 年夏に業務内製化や企業間出向事業への着手を決断しました。10 月より事業計画策定と現地視察を行ない、仕事内容や周辺環境の確認、出向先で滞在するための備品がそろっているかなど、スタッフが不安なく仕事ができるよう、生活環境の整備も行ないました。
そして、第一弾として12 月から2021 年3月末まで、北海道のリゾートホテルに30名が出向しました。そのほか、長野・大町にある「ANA ホリデイ・イン リゾート信濃大町くろよん」に10 名、リゾートに限らず「ホリデイ・イン&スイーツ新大阪」には1 名が出向するなど、グループホテルへの出向も行なっています。またホテルに限らず、高級有料老人ホームへの出向も進めています。これまでは、地元神奈川を離れた地域への出向でしたが、初めての土地では不慣れなことも多く、スタッフにストレスを与えてしまいますので、自宅から通勤できるエリアで業種を超えた出向を行なうことも視野に入れ始めました。そこで以前よりご提案があった介護事業の大手である(株)ツクイ様の有料老人ホームなどでの生活サポートを行なう案件も進めています。事前に人事スタッフに研修に行ってもらい、そのレポートを共有した上で希望者を募っており、2021 年4 月より本格的に始動する計画です。