日本酒の圧倒的な差を生んでいる世界共通の「エデュケーション」の有無
島田 これまでの日本酒マーケットの歩みをどのように見ていますか。
久野 日本酒マーケットの縮小は、私たち日本酒業界の怠慢がもたらした結果だと思っています。1970 年代の高度経済成長を経てバブル経済期に突入していく過程で、世界中のさまざまな食とアルコール飲料が日本にも溢れるようになりました。それなのに日本酒は旧態依然としたスタイルに固執してきました。当時は米を磨いて吟醸酒を造ろうという発想にも至っていません。純米大吟醸酒を造るために米を半分磨こうという考え方は、経済的に豊かな国でなければ出てくるはずもありません。ですからバブルに向かう70年代、80 年代に日本酒業界はもっと早く吟醸酒に目を向けなければならなかったのだと思いますが、その方向に舵を切ることができなかったことが、その後の日本酒マーケットの縮小に結びついてしまったのでしょう。