日本酒業界の閉塞感を打ち破るため若い人材が世に羽ばたく道を探ってみたい
日本酒造組合中央会認証「日本酒スタイリスト」として精力的に活動を続けるタレントの島田律子氏が、日本の伝統文化、日本酒の魅力を深く伝える連載の第2幕。「世界へ打って出る日本酒」に主眼を置き、輸出に力を入れる酒蔵、インバウンド対策が得意な酒蔵、ソムリエから見た日本酒の可能性などについて積極的に取り上げていく。「グローバルSAKE マーケットの創造者たち」と題したシリーズ、今回は和歌山県の蔵元、平和酒造(株)の代表取締役社長、山本典正氏にご登場いただいた。学生時代から経営者になることを夢見ていた山本氏は、大学卒業後に入社したベンチャー企業での経験を生かし、伝統産業の枠組みから出ることのできない日本酒業界の限界を打破しようと、今の時代の若い蔵人たちに酒造りに対するやりがいと、職人としての未来に希望を持ってもらえる組織づくりに取り組んできた。2020 年12 月の「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2020」のチャンピオン・サケ受賞は、その活動に間違いがなかった証しとも言えるだろう。海外マーケットの開拓を含めて、新しいチャレンジを続ける山本氏に話を聞いた。
島田 律子(しまだ・りつこ)
日本航空(JAL)国際線CAとして 5年半勤務後、タレント活動を始める。2000年「利酒師」(SSI)取得後、2001年 日本酒造組合中央会より「日本酒スタイリスト」に任命される。TVや雑誌への出演、コラムの執筆など、メディアでの活動を多数こなす。また近年、訪日外国人に向けた日本酒の会の主催にも力を入れるなど、国内外に向け日本酒の魅力を広く発信する。
HP:http://www.smile-brew.com/
山本典正(やまもと・のりまさ)
1978 年和歌山県生まれ。京都大学経済学部卒業後、東京のベンチャー企業を経て、2004 年平和酒造(株)入社。それまでの廉価な日本酒造りから脱却するため革新的な組織づくりに挑み続け、日々の人生に豊かな彩りを添えられる日本酒を届ける経営へと方向転換を果たした。全国の若手の蔵元有志が主宰する日本酒試飲会「若手の夜明け」に出展蔵として参加した後、11 年から17 年代表を務める。19 年4月1日平和酒造の代表取締役社長に就任。20 年12 月「紀土 無量山 純米吟醸」が、「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2020」のSAKE 部門でチャンピオン・サケを受賞。
若い蔵人の育成に注力しながら新しい酒造りの形を追求し、日本酒の魅力を世界に伝える活動に取り組んでいる。