イタリア・ヴェネト州トレヴィーゾに本部を置くプロセッコDOCワイン保護協会は、例年8月の開催し、今年は延期していたレストラン・バー業態における全国キャンペーンを11月21日から年末まで開催すると発表した。キャンペーンを運営するイタリア大使館貿易促進部が参加店を募集している。
生産量6億本はスパークリング世界一。世界遺産認定、ロゼもスタート
プロセッコは世界的に高い人気を得ているイタリアを代表するスパークリングワイン。生産・消費量ではフランスのシャンパン、スペインのカバに2倍の差を付けるまさに“世界で一番親しまれているスパークリングワイン”と言える。
その魅力は爽快さや値ごろ感だけではない。昨年はプロセッコを生産するトレヴィーゾ県の「コネリアーノとヴァルドッビアデネの丘陵群」が世界文化遺産に認定されたほか、プロセッコDOCでは今年の収穫分から待望のプロセッコ・ロゼの生産・販売がスタートするなど、市場に絶えず話題を提供しているのも特徴的だ。
産地はヴェネト州とフリウリ=ヴェネツア・ジューリア州の2州9県で、347社がスパークリングワインを製造している。2019年度の生産本数は前年より2000万本増えて4億8600万本。これに1億本程度を産するコネリアーノ・ヴァルドッビアデネのプロセッコ スペリオーレDOCG、1000万本ほどと生産量は少ないが、第三の産地といえるアーゾロ プロセッコDOCGにより、プロセッコ全体の市場は6億本に手が届く。
ここに今年加わるのが待望のプロセッコ・ロゼだ。今年5月にイタリアの農林水産省のワイン委員会で承認され、今年の収穫分から生産がスタート。すでに複数のワイナリーで、ファーストバッチとなる初回生産、瓶詰めをした様子がWEBサイトやSNSなどに掲載されている。ロゼはグレーラ種と10~15%のピノ・ネロ種(ピノ・ノワール)で、60 日以上のタンク内二次発酵(マルティノッティ/シャルマ方式)によるスパークリングワイン。1ha 当たりの収穫量はグレーラが18t、ピノ・ネロは13.5tとされており、ラベルには「ミッレジマート」(millesimato)の表記とヴィンテージが記載される。以前からロゼのスパークリングワインを生産・販売しているワイナリーもあり、色調のもとになる黒ブドウ品種がピノ・ネロで規定通りの場合はそれらのワインにプロセッコという表記が加わる。年間の生産本数は各社合わせて3000 万本程度になる見込みで、DOCだけで5億本を超えるマーケットを形成することになる。
品種や製法は同じでも、味わいや用途は幅広く
プロセッコの魅力はその提供のしやすさにある。辛口のブリュットやエクストラドライは食前のスターターとしての用途はもちろん、前菜やパスタなど料理との相性も見ることができる。香りはシンプルで、レモンやグレープフルーツといった柑橘、桃や洋梨、パイナップルやマンゴーなどのトロピカルフルーツに、ミントやセージなどのハーブ、そしてアカシアなど白い花のフローラル香に大別される。いずれのプロセッコも大きく離れることはなく、その要素が強いかでかぎ分ける楽しみもある。味わいは、甘みと酸味のどちらが先行するかで大きく異なる。アフターを酸味で引き締めるか、甘みがボリューム感や余韻となって続くか、また塩味や苦みなどのアクセントで、食事との相性を捉えることができる。
そして近年、イタリアの黄昏時を彩るのが「アペロール」リキュールなどを使った「スプリッツ」(Spritz)やエルダーフラワーのシロップやリキュールとハーブで楽しむ「フーゴ」(Hugo)だ。これも多岐にわたるイタリアンリキュールやハーブによって、バリエーションは無限に広がっている。
何より、コストパフォーマンスの良さは顧客と飲食店の双方にとって大きな魅力だ。今年は忘年会シーズンの繁忙を見込むのは難しいかもしれない。しかし、波乱の一年を締めくくる時期に、欧米ではかなり知られたスパークリングワイン、プロセッコキャンペーンへの参加で顧客との話題づくりやビバレッジセールスの機会創造に役立てるのは、イタリア料理業態であるかを問わず妙案だと言える。
「Mese del Prosecco 2020」プロセッコDOCワイン レストランキャンペーン2020
実施期間:2020年11月21日~12月31日
主催: プロセッコDOC保護協会
運営: イタリア大使館貿易促進部
参加店決定および発表:2020年11月中旬
キャンペーン終了後、所定フォーマットでプロモーション結果をご報告いただきます。
参加特典:プロセッコDOCワイン保護協会からプロモーショングッズ(ワインクーラー、ストッパー、パンフレット、エプロンなど)が無償提供されます。
キャンペーン対象プロセッコ生産者、日本輸入者など詳細は、イタリア大使館貿易促進部 食品・飲料部 プロセッコキャンペーン運営事務局 大道・金原
URL=www.ice-tokyo.or.jp/MesedelProsecco2020