---プリンス スマート インはどのようなブランドにしていくのですか。
当社にとってプリンス スマート インはイノベーションを起こそうということでスタートしたブランドです。従来のプリンスホテルでは取り込めていなかった若年層をターゲットとしています。ミレニアル世代と呼ばれる20 代後半から30 代前半のお客さまが中心となりますが、10 年後には確実に上位カテゴリーへとスライドしてくるので、将来を見越して取り込んでいくことを目指しています。
具体的には、ミレニアル世代にとって使い勝手が良いように、ICT、AI を駆使し、スマートフォン一つで予約からチェックイン・チェックアウトができ、さらにはルームキーにもなってしまうという手軽さで、余計なものは一切必要ないという彼らの志向に合わせた、ライフスタイル型ホテルといえるでしょう。
このようにIT 化が加速することで一般的にサービスは省人化が進むと思いますが、当社ではこれまで培ってきたプリンスホテル品質で安全・安心を大前提とした快適な滞在を提供いたします。
10 月8日恵比寿での開業を皮切りに将来的には100 店舗展開予定の新ブランドになります。ただし、開発のタイミングで常に進化させていくものと考えています。
---複数のブランドを展開する上で、販路が拡大するメリットもあれば、人材教育の統制も難しくなります。
むしろチェーンメリット生かして、従業員にはザ・プリンスからプリンス スマートインまでさまざまな経験を積んでもらいたいと考えています。今年から世界へはばたくプリンスホテルにふさわしい人材の教育、サービス教育、客室清掃に至るまでトレーニングも強化の拠点として東池袋の本社ビルにトレーニングセンターを新設しました。そこでは、ホテルの客室はもちろん、フロントや最大で2 ~ 300 人程度の宴会をシミュレーションできる宴会場など、ホテルの現場を完全再現しています。これまではOJT など仕事をしながら行なっていたトレーニングを、集中的に行なうことでスタッフのスキルアップをより強力かつ効率よく行なうことが可能となりました。
---コロナ禍を経て、プリンスホテルが目指す今後の展開について。
先が見通しづらい状況ではありますが、高単価のマーケットは、比較的落ち込みが少なく、かつ戻りが早い。実際に軽井沢や箱根では8 月の稼働率はGoTo の影響もあり、稼働率は好調に推移しました。この傾向は全国的に見ても変わりません。
最も影響を受けやすいのは、ADR が1 万円以下のインバウンドをメインターゲットとしていた市場だと思います。冒頭で申し上げたように、価格競争に陥ると、どうしても最低価格に引っ張られてしまい、上位ブランドでも値崩れが発生してしまう。当社としては、本当に価値のあるものを提供し、常にそれを回避するよう努力しています。
今回フォーブストラベルガイドの5ツ星を、ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町とグランドプリンスホテル高輪の花香路が獲得したように、グローバルな評価を獲得する取り組みを積極的に進めて、世界的な認知度を高めていきたいと考えています。そして、プリンス スマート インでプリンスホテルを初めて使った若い世代のお客さまが、「自分たちもいつかプリンスホテルに泊まりたい」と憧れるようなブランディングを構築していきたいと思っています。
2020年10月16日号 トップインタビュー (株)プリンスホテル代表取締役社長 小山 正彦 氏
トップインタビュー (株)プリンスホテル代表取締役社長 小山 正彦 氏
【月刊HOTERES 2020年10月号】
2020年10月15日(木)