酒が売れることは地域活性化にもつながる。それが「はりま酒文化ツーリズム」の思い
田中 私たちは「播磨風土記」の編纂1300年を記念して、庭田神社から採取した麹菌と酵母菌を使って「庭酒」を造りました。日本酒でキーとなる黄麹菌の原理は3種類ありましたが、庭田神社で4番目の新種が採れて、麹菌「HM-1」として酒類総研で証明していただいています。姫路酒造組合の所有になっていて、播磨の造り酒屋だけに配られる取り決めになっています。 こうした日本酒の歴史が持つ深い物語を、私たちはもっと上手に発信していくべきだと考えています。
島田 姫路市、明石市など兵庫県中西部の播磨地区は、酒どころ「はりま」として2020年3月16日、地域ブランドとして国から保護される地理的表示「GI」の認証を受けました。
田中 庭酒から派生する形で、播磨地区にある4つの酒造組合が一体化することで「はりま酒文化ツーリズム」の活動を始めたことで、GIの取得に至りました。
播磨の22市町が「播磨広域連携協議会」を発足させ災害時に互いに助け合う協定を結んでいます。そこで観光に関する活動も組み入れて力を入れようという発想からはりま酒文化ツーリズムが生まれたのです。 播磨の酒が売れることは、地域活性化にもつながります。GIの取得によって海外の方々にも日本酒に興味を持っていただき、そこからたとえば山田錦の田植えや稲刈りの体験をしてもらう観光の提案をするといった流れを創ることもできるでしょう。もしも新型コロナウイルス禍が起きず、東京オリンピック・パラリンピックが予定通り開催されていたら、2020年に私たちの思いは達成できていたと思いますが、こればかりは仕方がありません。 いずれにしても、GIを取得したから日本酒が売れるわけではなく、ここから播磨の酒を認知していただく活動を続けていくことが最優先課題です。