エッジの効いた個性重視のホテルスタイルで、新しいノウハウの積み上げが期待できる
■コロナによってインバウンドが期待できない今、新たなビジョンをどのように描いていますか。
海外からのお客さまは限りなくゼロに近いので、国内需要の喚起にシフトチェンジするしかありません。今回のコロナが凄いのは、たった数カ月で人々のライフスタイルや価値観、慣習など社会のエートス(行動様式)を一瞬にして変えてしまったことです。将来的にどのような形で社会が落ち着くのかはわかりませんが、いずれにしても今後は「個性の時代」に本格的に入っていくと私は見ています。その変化に合わせた新しい商品づくりを進めなければ、生き残りは難しくなっていくでしょう。
■ACホテルというマリオットのライフスタイルブランドを東武ホテルマネジメントが選んだことは、奇しくも来るべき個性の時代のニーズと呼応していると言えると思います。
もともと私たちは銀座の地において、マリオットのコートヤードブランドでホテルを展開してきました。その隣にもう1軒ホテルを建設するプロジェクトが立ち上がった際、新しいホテルについてもこれまでコートヤードで培ってきたマリオットとの信頼関係をベースに創り上げようと考えました。そしてアメリカンでオーセンティックなタイプのコートヤードに対して、スペインを発祥とし、ヨーロピアンで洗練されたブランドであるAC を、アジア初で展開することに価値を見出したのです。
個性の時代では「多様性」がより重要なキーワードになると思っていますが、その中で、ACのようなライフスタイルホテルを訪れるのは自分の個性を大切にするお客さまです。コロナによって時代変化という時計の針が速くなってしまった今の状況において、偶然とは言え新しい時代の要請に合致した選択ができたと感じています。
これまで東武ホテルマネジメントは宿泊主体型からフルサービス型まで、主に正統派スタイルのホテルを展開してきました。AC ホテル・バイ・マリオット東京銀座がエッジの効いた個性重視のやり方を始めることで、新しいノウハウの積み上げができるだけでなく、ホテル会社としての深み・厚みが増してくると期待しています。コロナ禍にあって、少しでも明るいニュースとしてこの流れを捉えて私たちは大きく前進していきたいと考えています。