そこで重要なのは、良い意味でほかを見ないということだ。もちろん、正確には他社の取り組みを参考にすることは大切だ。しかし、それに盲目的に「うちでもそうしよう」と取り入れてしまってはいけない。これからは、これまでとの基準が違う時代。新しいスタンダードを作るのは今の時代の人たちだからだ。
ある高級ホテルでは、いまだにオープンキッチンの中でキッチン用の手袋をせずにサンドイッチなどを切って提供している。これが是か非か、そこに正解は無く言ってみればゲストなど世間の目が決めることだ。コロナ以前であれば誰も文句を言っていなかった。これからは、文句が出てくるかもしれない。それらを総合的に判断して自社で決めればいい。「それでもこれで行くんだ」という判断をするのであれば、それは素晴らしいことだ。過度に自粛したオペレーションであれば文句は出ないかもしれない。しかし、そうした対応はホテルやレストランが本来持っていた本質的な魅力を失わせる。ゲストだって、いまだにビュッフェに行きたい、仲間と近い距離で食事をしたいと思っている人は少なからずいるのだ。
これからは、正解の無い時代に突入する。ある人はニューノーマルとも言うWith コロナの時代にどのようにすべきか。それは、誰かから教わるものではない。皆で、安心・安全に配慮をしながらも自社としてどうあるべきか、そうした議論を通じて、これからの時代のチームを創り上げるというのも、一策ではないか。
2020年6月12日号 FROM THE PUBLISHER 太田 進 正解の近似値
FROM THE PUBLISHER 太田 進 正解の近似値
【月刊HOTERES 2020年06月号】
2020年06月11日(木)