動物の命を適切に支えていくという判断。彼らが起こした、来援者数の驚異的伸びは、大型の投資をした訳でも、客寄せパンダに頼った訳でもない。動物の命を考えた飼育方法による展示の仕方が結果的に変わったことが、来園者の感動につながったのだ。一日でも長く動物の命が輝く状態にしていくという思いからはじまった、自分たちの存在意義のずらしが、来園者の感動と飼育技能の世界的モデルへの深まりにつながっている。
AからBへ。自分たちの存在意義のずらしは、粋な活性化策の重要な一手であることが多くある。自社のお客さまにとっての存在意義は現在何で、これから何にしていく必要があるのだろうか。存在意義のずらしを、粋な方向で考えられれば、大きな投資が必要のないイノベーションに、お客さまの感動につながる。事業の活性化の答えは足元に転がっているが見過ごされていないだろうか。
2020年5月8・15日号 サービス・イノベーション-Part2
175「ずらし」の可能性
【月刊HOTERES 2020年05月号】
2020年05月14日(木)