ホテルやサービス業界における人材育成は企業を存続させるためにますます重要な要素となっている。グローバル化、ダイバーシティが世界規模で動き出している中で、アジアを中心とした有能な外国人たちが日本のホテル業界で学びたいと門戸をたたき出した。語学堪能、頭脳明晰、そして何かを吸収したいという熱い情熱は今の日本のホテルマンにはかなわない力を持っている。そこで今回はホテル経験豊富な川村敦子社長に人材育成の必要性、そして今、何をすべきかなど実践をベースにお聞きした。
福永 ホテルやウエディング業界の人手不足はますます深刻な問題となっています。少数精鋭であれば良いのですが各部署で人材が不足していることから、在籍しているスタッフの仕事量は加重となり、人材育成の必要性は分かっていてもセミナーや研修、そして人材育成のためのトレーニングを受けさせる時間や人そのものがいないという状況です。弊社にも研修のご依頼のお話はいただくのですが、中には研修以前に改善すべきことがあるのではないかと思うことも多々あります。川村社長は豊富なホテル経験を生かしたトレーニングなどをされていらっしゃいますが、初めに今取り組まれていることや目指していることなどをお聞かせいただけますでしょうか。
川村 「人と企業をいきいきと」を目指しています。これからはハードや物質的なものだけでなく、人々の体験や気持ちが企業のサービス価値を決める時代です。アルバイトやパート人材も含め、そこに関わる方すべてがいきいきと輝いていることが大切です。例えれば“雪の結晶”でしょうか。さまざまな個性や能力、技術を持つ1 粒1 粒が集まって、キラキラと輝く雪の結晶を作り出します。それはとても美しく、人々を魅了します。そのような組織を作り上げていくことが、結果的にあきらめさせない、辞めさせない組織となり、“スタッフが輝いているあのホテルで私も働きたい”という情熱を持った次世代が自然と集まり、課題のひとつの人材不足も解消させるのだと思います。