変化が苦手な会社ほど、会議は一般的に言われているような効率を大切にして運営している。1 ユニット5 分現状報告と対策を話す。途中議論をする時間はなく、淡々と報告がなされていく。すべてのユニットをまんべんなく扱うという意味での効率は担保されるが、集まって何かが見いだされるようなシーンはない。効率は追求されているかもしれないが、効果は上がらない。集まって話をさせることで得をしているのが、管理者側にあるのだろう。
でどうする。変化を味方につける企業は、会議の前に担当者が持っている結論が刷新される、現状を吟味していく中で、よりよき対策に変わっていくのだ。効率一辺倒の会社では、会議の事前にもってきた結論を披露し、レビューされていくだけである。前者は、他人の知恵が加わることで、新しい自分になれる可能性が上がるが、後者は今まで結論をダウンロードすることに留まる。自分が思いつく対策は、程度の差はあれ着手しているのだから、結果が跳ねる事はない。
イノベーションが日常にある企業、いままでのやり方に新しいやり方を加え続けられる会社は、結果のレビューは非効率だと考えている。会議では最低限の時間だけに確認は留めている。そのかわりに力をいれるのは、それぞれの感じたことから、パズルをくみ上げて、本当に必要な一手を考えていくことだ。ここに一般的な会社の3 倍から5 倍の時間をあてる。
一見、非効率にも見える話合いだが、本当の効果は、会議が滞りなく終わる事ではない。日々の実践の中に、新しい要素が加わり、結果がよりよき方向に変わっていくきっかけをつかむことである。仮にスパッと結論がでなくても、次の会議までの期間に、お互いの仕事への何らかの影響がおよべば次の話し合いが充実する可能性はあがる。そして会議までの間に必要なやり取りが発生する。仕事をよくするために話し合っているのだからいいのだ。
変化創造に必要なのは「気づき」である。そして、「気づき」が連鎖しあってさらなる発見につながったときに、自分達史上最高のレコードや、業界慣習を打ち破ったような変化につながるのである。変化のための話し合いは、それぞれの、現場での気づきの貯金をおろして、一カ所に集めて、より大きなものを購入できる気づき満期の資金になるように進めていきたい。
岡村衡一郎 サービス・イノベーション-Part2 ~現場と本部が一体で進めるイノベーション~
135 何を話さないからイノベーションは起こるのか
【月刊HOTERES 2019年06月号】
2019年06月14日(金)