タイトルを失念してしまったが、以前読んだ大前研一氏の著書でリクルートには38 歳定年制の仕組みがあると書いてあった。これはリクルートがオフィシャルにしていることではなく、また最近は少しその制度も変化しているようだが、38歳など若い年齢で退職すると高額の退職金が支給され、それを元手に自ら起業する人間が多いという。この業界だけで見てもリクルート出身者はさまざまなところで活躍している。
逆に、だからこそリクルート出身者は皆よく勉強するとも大前氏は書いていた。普通の会社では重要な仕事を任せられるのは20 年後だと思っているから、若い人は言われたことしかやらない。逆にリクルートは新卒で入社して15 年後には起業するのだからと必死で学び働くのだという。それが、リクルートが人材輩出企業といわれる所以だ。
形は違うがサイバーエージェントでもユニークな取り組みを行なっている。新卒入社数年のスタッフに子会社の社長をやらせているのだ。経営者となれば人事、経理、営業などすべての仕事内容の理解が必要で、また意思決定も迫られる。その経験を通じて非常に鍛えられる、成長するというものだ。
今のビジネスモデルが3 年後に通用すると考えている経営者は約44%。5 年となると15%、10 年となると3.6%だという。世の中が変化する中で新しいビジネスを生み出さなければ企業は生き残れない。だからこそ新しいビジネスを生み出せる人材は必要だ。しかし、そういった人材がたまたま生まれるようなことはまれである。
優れたリーダーをどんどん排出するためには戦略的な教育や人事制度が必要だ。誰かが浮かび上がってくるのを待っているような態度の企業では優秀な人材もやってこないだろう。御社はどんな戦略で次世代のリーダーをつくっているだろうか。
2019年4月12日号
FROM THE PUBLISHER ——太田 進—— 待たずに作れ
【月刊HOTERES 2019年04月号】
2019年04月12日(金)