エラスリスの主要ブランド。左から、「ラス・ピサラス シャルドネ」「同ピノ・ノワール」(以上、2017 年)「ドン マキシミアーノ」(以下、2016 年)「セーニャ」「ヴィニェドチャドウィック」とそれぞれのビッグサイズ
チリワインの価値と品質を知らしめた 「ベルリン テイスティング」から15年
南米チリの最高峰ワイナリー「ヴィーニャ エラスリス」(Viña Errazuriz)当主のエデュアルド・チャドウィック氏らによるワインテイスティング「ベルリン テイスティング」が行なわれてから1 月23日で15 周年を迎えた。1976年に行なわれた「パリ テイスティング」に着想を得て実施したブラインドテイスティングで、「チリで世界最高品質のワイン造りができる」というメッセージを発信したのが2004年のことだ。チャドウィック氏は1870年創業の「ヴィーニャ エラスリス」の5代目当主。基幹ブランドの「ヴィニェド チャドウィック 2014」(Viñedo Chadwick)が評論家のジェームス・サックリング氏からチリワインとして初めて100ポイントを獲得したのに続き、「セーニャ 2015」(Seña)も100ポイントを獲得。17年には「Robert Parker’s Wine Advocate Extraordinary Winery Awards」を受賞し、18年にはデカンタ誌のマン・オブ・ザ・イヤーに輝いた。チャドウィック氏が昨秋の来日で2016年ヴィンテージを中心に語ったマスタークラス「Into the Future」をレポートする。
マスタークラスと同日には帝国ホテル 東京「レ セゾン」でプレゼンテーションディナーも開催された。右から ティエリー・ヴォワザンシェフ、チャドウィック氏、愛娘のマギーさん、伊藤靖彦ソムリエ
過去10 年で最も冷涼なシーズン
16年は過去10年の中で最も冷涼なシーズンだったと言われており、それがおのおののワインに酸とエレガントさをもたらしたとチャドウィック氏は総評する。雨を伴う涼しい天候で芽吹きが前年より1週間以上の遅れを見せ、その遅れは開花まで続き、例年よりも成熟を待つ年だった。「セーニャ」や「ドンマキシミアーノ」(Don Maximiano)を造るアコンカグア・ヴァレー、「ヴィニェド チャドウィック」のマイポ・ヴァレーともに、暑さを取り戻した夏の後に再び気温の低い収穫期を迎え、4月中旬の大雨はこの年のチリワインに大きな影響をもたらした。エラスリスは機を見るに敏な行動で9割以上の収穫を済ませており、品質を保つだけでなく繊細でエレガントなワインとしての評価を得たのが16年の特徴だ。