メニューの再構築で発泡性ワインのもう一つのチョイスに
コネリアーノからヴァルドッビアデネにかけて続く丘陵地。この急斜面で育つグレーラ種によるプロセッコは独特のアロマを持つ
日本とEUの間に経済連携協定が発効し、この日欧EPAは2月1日から15%(上限125 円)の関税が即時撤廃となる。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、日チリEPA、日豪EPAを合わせた中で最も税率の高い欧州ワインの関税撤廃により、日本市場への期待を高める現地生産者は多い。
1ℓ当たり182 円の従価税も即時撤廃となるスパークリングワインは、メニュー再考の機会と考えてみてはどうだろうか。
イタリア北部のコネリアーノ・ヴァルドッビアデネ・プロセッコDOCG(以下、プロセッコDOCG)ワイン保護協会が日本へのプロモーションを継続している。
ヴェネト州とフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州にまたがって造られるプロセッコの生産量は合わせて5億本を超える、世界で最も飲まれているスパークリングワイン。
ブドウの収穫状況によると、2018年は5億5000万本に届くと予測されている。
シャンパーニュがイベントで飲まれるワインであるのに対して、プロセッコは食事に近い日常のワインとされ、イタリアのみならずドイツや米国、英国やオーストリア、スイスなど多くの国で親しまれている。
このうち、今日のプロセッコDOCGは2009年に昇格したもので、主に平地で生産するプロセッコDOCとは異なり丘陵地帯で造られるワインだ。気温や日照から守られやすいDOCGの1ha当たりの収量は13.5トンで、18トンまで収穫できるDOCの三分の二に集約されるアロマや味わい、余韻の心地よさが強みだ。
特級畑である「リーベ」は43あり、最上級のクリュ「カルティッツェ」はわずか107haを細分化して生産者や農家が所有する、少量ながら別格の品質を誇る“スーパープロセッコ”だ。
カルティッツェにはプロセッコの自動販売機もある
現在の生産量8500万本のうち94.4%がスプマンテ。そのほか微発泡性ワインを3.9%、スティルワインを1%生産している。輸出量は03年の960万本から17年には3600万本と順調に伸ばしており、ドイツ、英国、スイスで6割。米国やオーストリアなど多方面に輸出。日本では21万5000本が輸入されている。
プロセッコDOCGのジャパンプロモーション事務局であり、日本人初のイタリアワインソムリエであるソロイタリアの林茂代表は、プロセッコDOCGのポテンシャルを評価する。
「コネリアーノからヴァルドッビアデネまで35kmの丘陵地帯は、1990年代に渡欧したころから見てきた思い入れのある土地。同じヴェネト州生まれのカクテル『ベリーニ』との関連性も深い。DOCG昇格前の08年の生産量4900万本から10年で10倍以上と、これほど躍進するワインはほかにない。プロセッコはコネリアーノ・ヴァルドッビアデネから来たと言って良いと思っています」
イタリアでは30%がホテル・レストランで扱われているプロセッコDOCG。ユネスコ世界自然遺産の認定に向けても期待の高まるこの土地を、DOCとは別の選択肢として考えてみると良いだろう。
11月には生産者が来日。屋形船によるプレゼンテーションディナーが行なわれた