㈱フェイス 代表取締役 福永 有利子 氏
㈱Flucle(フラクル) 代表取締役/社会保険労務士 三田 弘道 氏
2016 年9 月、大手広告代理店、電通女子社員の過労自殺を機に“働き方改革”ののろしが上がった。かつては夜中遅くまで仕事をしていることに働いているという充実感や頑張って働いているという評価を得た。ところが今はちがう。プライベートな時間まで仕事を持ち込まない仕事に対する割り切り感や明確な給与体系・人事評価・賃金規程や福利厚生の充実度で就職する企業を選択している。そこで今回は人事労務を核に社員が自分らしく、能力を発揮できる環境作りに向けたサポートを行なっている㈱Flucle 三田弘道社長にお話を伺った。
福永 過労死や精神疾患の増加にともない、戦後高度経済を成長し続けてきた昭和の働き方について見直しの機運が高まり、残業時間管理の徹底や就業規則などの見直しを行なう企業が増えてきました。しかし、人材不足にもかかわらず、人が欠かせないホテルや式場、あるいは日本企業の90%を越える中小企業において、大手企業のように働き方改革に直ぐに踏み出せない実態もあるようです。御社は、人事・労務の視点から働き方改革を支援していらっしゃいますが、現状はいかがでしょうか。
三田 これまでの日本は、終身雇用が当たり前でした。そのため人事考課はあまり必要とされず、勤続年数や評価する管理職の感情で給与や賞与の金額が決められていました。
経営陣の“一所懸命頑張ろう”という掛け声のもと、ある意味、がむしゃらに働くことが美徳とされてきたのです。
その結果、戦後わずか20 年の昭和40 年代には高度成長期を迎え、日本は経済大国として飛躍的に成長しました。
しかし、時代は大きく変わっています。仕事とプライベートを切り離して考える若者が増え、“頑張ろう!”の掛け声だけでは彼ら・彼女らの心を動かすことはできません。
近年社会に出た若者は、上司の感情に振り回されたくないという思いが強く、明確な人事評価と対価が明確で、福利厚生が充実した企業を選択しています。しかし、受け入れ側の企業には、まだまだ昭和の考え方で経営されているところが多いのが実情です。