早朝のインバーライリーの街並み。ファイン湖から流れてくる澄んだ空気がすがすがしい一日の始まりを感じさせる
スコットランドは欧州一のフィッシャー
であり、海のエコリーダー
スコットランドは, 英国(UnitedK i ngdom of Gre at Br it a i n a ndNorthern Ireland)を構成する四つの地域のひとつ。北緯54 度から61 度は日本の北海道やサハリンよりはるか北だが、およそ530 万人の人口(英国全体の約8.4%)と面積約7.8 万㎡(英国全体の約1/3)は北海道とほぼ同じ規模である。
この国の水産業界には、世紀を越えて受け継がれた経験や知識と、近代的な英知をミックスした質の高いプロダクトがある。全長1 万2000㎞におよぶ広大な沿岸地帯と国内の入り江(ロッホ)、豊かな自然に育まれた65 種類以上の海の幸が水揚げされている。
豊富な白身魚はスコティッシュシーフードの代名詞とも言える。ハドックやコッド、ヘイクなどのタラ科の魚やアンコウはフィッシュ&チップスとして食卓に並ぶ。また、スモークや生食のスコティッシュサーモンは身が締まり、脂が上質でその味わいは脳裏に深く印象付けられる。この国の水産業界のフィロソフィーが集約されたような魚だ。さらに、ラングスティーヌ(ヨーロッパアカザエビ)の水揚げ量は、スコットランドが世界最大だ。
恵まれた自然環境を背景に多様な魚介を供給するスコットランドだが、その背景には次世代へのバトンを預かっているという高い意識と世界有数の厳格な環境・漁獲基準がある。“ 海のエコラベル”と呼ばれる「MSC 認証」を持つ漁業は八つに上り、英国全体でのMSC認証取得漁業としては欧州一だ。イノベーションおよび製品開発、教育に対する継続的な投資を通じ、スコットランドは高いトレーサビリティとサステイナビリティを誇る世界トップクラスの海洋環境先進国といえる。
MSC(Marine Stewardship Council)認証=海のエコラベル
MSC の「海のエコラベル」は、持続可能な漁業の指標であるMSC の規準に合致した漁業による水産物にのみ使用される、科学に基づいた規準。MSC: Marine Stewardship Council( 海洋管理協議会)の厳正な環境規格に適合した漁業で獲られた水産物にのみ認められる。漁業が、MSC の持続可能な漁業のための原則と規準に則り、「MSC 漁業認証」を取得し、その漁業で獲られた水産物を流通~製造・加工~販売のすべての過程において「CoC 認証」を取得した企業が適切に管理することで、初めてMSC「海のエコラベル」= MSC ラベルのついた商品が消費者の食卓に並べられるようになる。
「CoC」とは、水産物の漁獲から消費者の手に渡るまでを「認証」というチェーンでつなぐことを意味する「Chain of Custody(管理の連鎖)」の略。MSC ラベルの信頼性を支える重要な柱のひとつで、MSC 漁業認証の取得が世界中で広がるなか、CoC 認証を取得する企業も増加している。