今号ではアレルギー疾患に関する我が国の動向をご紹介します。一部難解な言葉があり、また「アレルギー疾患全般の医療提供体制・調査研究」の内容のため、食品に携わる方々には関係がないように思われるかもしれません。しかし、食品提供者が食物アレルギー患者に対応する際の背景には、そのときの医療が影響しています。特に食物アレルギーの医療は最近大きく変化しており、食品企業に寄せられる問い合わせの内容の多くが「食品に含まれるアレルゲンの量」となってきています。これは、食物アレルギーの治療が「厳格な除去」から「少しずつ摂取する」に変化しているからです。
NPO 法人アレルギーっこパパの会
理事長
今村慎太郎
Shintaro Imamura
〈Profile〉娘の食物アレルギーをきっかけに、アレルギー対応力が高い企業が食物アレルギーのない人たちから選ばれる社会を目指し、2013 年NPO 法人アレルギーっこパパの会を設立。研修・講演、メニュー開発やコンサルティング、アレルギー対応のためのコミュニケーションWEBサービス「アレコミュ」で、ホテルや飲食店など外食企業のアレルギー対応支援を行なっている。
NPO 法人アレルギーっこパパの会 http://www.arepapa.jp/
アレルギー疾患対策基本法公布から
現在までの動向
2013 年6 月に「アレルギー疾患対策基本法」、2017 年3 月に基本法に基づいた「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」が公布されました。この基本的な指針には、「疫学研究、基礎研究、治療開発(橋渡し研究の活性化を含む)および臨床研究の長期的かつ戦略的な推進」、「医療の質の近点化に向けた医療提供体制の整備に関する取り組み」、「アレルギー疾患に関する調査および研究に関する事項」が記され、昨年4 月より『アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会』、今年7月より『免疫アレルギー疾患研究戦略検討会』の開催、それぞれの検討会が『アレルギー疾患医療提供体制の具体的な考え方』と『免疫アレルギー疾患研究10 カ年戦略~免疫アレルギー疾患の「見える化」~』をまとめました。