近年の食物アレルギーを含むアレルギー疾患の急増を受け、アレルギー疾患対策への指針策定を国に義務づける「アレルギー疾患対策基本法」が2015年より実施されたことから、フードビジネスに携わる企業はもちろん、国民もまたアレルギー疾患に関する正しい知識を備え、注意を払うことを努めなければならなくなった。
そこで、現時点の当事者だけでなく、改めて識るべき「アレルギー対応」について発信する。
NPO 法人アレルギーっこパパの会
理事長
今村慎太郎
Shintaro Imamura
〈Profile〉娘の食物アレルギーをきっかけに、アレルギー対応力が高い企業が食物アレルギーのない人たちから選ばれる社会を目指し、2013 年NPO 法人アレルギーっこパパの会を設立。研修・講演、メニュー開発やコンサルティング、アレルギー対応のためのコミュニケーションWEBサービス「アレコミュ」で、ホテルや飲食店など外食企業のアレルギー対応支援を行なっている。
NPO 法人アレルギーっこパパの会
http://www.arepapa.jp/
研究段階であるため、一般治療として推奨されていませんが、発症の原因になる食品を食べることで食物アレルギーを治していく「経口免疫療法」は、たびたび最新の治療としてテレビ番組などで取り上げられることがあります。
前回は、この経口免疫療法を行なう食物アレルギーの子どもが増えたことにより、食品企業が受ける患者家族からの問い合わせが変化してきていることをお伝えしました。
今回は、私の娘の事例を通して、この治療がどのように行なわれるのかをご紹介します。
なお、食物アレルギーの確定診断や、経口免疫療法の進捗を確認するために行なう「食物経口負荷試験(以下、負荷試験)」を中心にお伝えします。
食品提供者が食物アレルギー患者家族と接する上で必須の情報ではないかもしれませんが、たびたび取り上げられる「食べて治す」という言葉からは感じることができない、経口免疫療法や負荷試験で抱く発症の不安、長期間の治療と向き合い生活していることを感じていただければ幸いです。