「グランピング」という新スタイルの宿泊施設を任された鈴木雅行支配人は、なんと元料理人。藤田観光㈱に入社し34 年。コックコートを脱ぎ、持ち前の気さくな人柄で、支配人として活躍している。運営方針や、グランピングならではの苦労、今後の展開についてお聞きした。
▶ホテル椿山荘東京やワシントンホテルといった、宿泊事業の王道をいくイメージのある藤田観光さんですが、今回、斬新な業態であるグランピング施設を作ることになった発端は何でしょうか?
当社はシティホテルやビジネスホテル、リゾート事業、ラグジュアリーホテルなどの業態を開発・運営しており、割とスタンダードな業態ばかりと思われがちですが、実は新しいチャレンジを積み重ねてきた歴史があります。これまでも、箱根の一大温泉地化に貢献したり、ビジネスホテルの事業モデルを構築したり、フォーシーズンズホテル&リゾーツ社との提携や、自社のレストランに海外の第一級の料理人を集めるなど、藤田観光の強みは「先見の明」だと思っています。今回のグランピングという挑戦はその一つに過ぎません。これからの時代、ただ泊まれるだけの施設ではなく、いろいろな意味で宿泊を楽しんでいただくことが重要になってくると考えました。
▶新しいスタイルの宿泊施設ですが、どのようなお客さまに、どんなふうに利用していただきたいか、具体的なイメージはお持ちですか?
やはり、自然体験が魅力の一つなので、都市部に住むお子様連れのご家族にお越しいただきたいですね。ハンモックに揺られながら富士山を眺めたり、敷地内でバドミントンやフリスビーで遊んだり…、昔ほど見かけなくなった光景、都会でできなくなったことを楽しまれている姿を見たいです。また、都会の喧騒を離れ、贅沢なひと時を過ごしたいと考えているお客さまにも来ていただきたいですね。先日は、静岡クラウンメロンを半分に切ってブランデーをかけて召し上がるという、大変すてきな時間を過ごされているご夫婦をお見かけしました。
▶ 4 月に開業して半年ほどたちましたが、どのような課題が見つかりましたか?
お客さまが、グランピングの魅力であるアウトドアとホテルライクのどちらをより強く求めているのかを理解することの難しさを感じています。アクティビティーを求めているお客さまに対してどうアプローチをしていくかなどは、まだ模索中です。もっとイベントをやってもらいたいなどの声はアンケートを通して頂戴しているので、ボジョレ・ヌーヴォー解禁イベントやクリスマスイベントなど、いろいろと考えているところです。