東洋大学 国際観光学部 准教授 徳江 順一郎 氏
国土交通省観光庁 参事官(観光人材政策担当) 田村 寿浩 氏
観光立国実現に向けて、政府はさまざまな政策を打ち出している。2012 年には836 万人だった訪日外国人旅行者数は、翌年初めて1,000万人を超え、2017 年は2,869 万人にまで増加した。大変な勢いで増加していることが改めて驚きである。ご存知のとおり、政府は2020 年に4,000 万人、2030 年には6,000 万人という目標を掲げている。そのため、この勢いはまだまだ続くことになるわけである。
こうした状況において、業界からは人材育成の重要性がしばしば聞かれるようになった。急速なインバウンド市場拡大のもとで、それをマネジメントできる人材の育成は、成長を持続するためにも欠かせない。そして、少子化が進んでいる中で、この業界を担う若手の確保と育成は喫緊の課題となっている。
今回ご登場いただいた田村氏は、日本の観光政策の中心たる観光庁において、観光人材に関する政策を担当していらっしゃる。そこで、将来のわが国観光産業を担う人材の育成について、他面的にお話をうかがった。
将来の日本を支える観光
徳江 参事官はもともと、文部科学省にいらっしゃったのですね。
田村 そうなんですよ。大学卒業後に文科省に入省しまして、文化庁で国際業務に携わったり、日本スポーツ振興センターではロンドンにも滞在したりしておりました。警察庁で少年犯罪に関する仕事をしていたこともありますが、内閣官房時代には、オリンピック・パラリンピックの事務局にもおりましたので、実は観光ともご縁があるんです。
徳江 そして今は観光庁で参事官をしていらっしゃるということですね。それでは、政府の政策について、軽くお話いただけますでしょうか。
田村 2003年、小泉内閣のときに「ビジット・ジャパン・キャンペーン」が開始され、2008 年に観光庁が発足しました。安倍内閣になってからは、この流れが加速し、2015 年に「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」を総理自らが議長として開催なさり、2016 年に最終とりまとめが行われました。ここで、訪日外国人旅行者数を2020 年に4000 万人、2030 年に6000 万人という目標値が示され、さまざまな政策が実行されています。