我が国の宿泊産業の競争激化が進んでいる。競争が少なかった時代は、「万人ウケ」というやり方が正解だった。しかし、これだけ多くのホテルや宿泊施設が乱立し、お客さまのニーズが多様化しているいま、「万人ウケ」するホテルが新たに誕生しても、選ばれない。いまホテルのマーケティングに求められている戦略は、とんがりをつくること。とんがりで差別化し、そのとんがりに関心のあるお客さまが集まる。本連載は、そんなコンセプトが際立ったホテルや宿泊施設を厳選して紹介する。担当するのは、立教大学観光学部で宿泊ビジネスを学ぶ学生たち。学生のピュアな目に、日本のホテルはどう映り、どう表現されるのか——。
すっきりとしたフロントデスク。都会的なデザインの中にぬくもりも感じるUDS ならではのセンスが光る
HOTEL LOCUS は、宮古島空港より車で約10 分、街の中心である「西里通り」まで徒歩10 分の場所にあり、どこに行くにも便利である
2018 年1月、沖縄・宮古島に、小ぶりだけれど、上質なセンスあふれるスタイルホテルが誕生した。ホテルを拠点に島全体のさまざまなアクティビティーを体験し島の魅力を存分に感じてもらう体験型リゾート「HOTEL LOCUS」だ。これまでのリゾートホテルの一般的な概念は、ホテルの敷地内でホテルの付帯施設を楽しむというものだが、ここLOCUS は、ホテルを「島を遊びつくすベースキャンプ」ととらえ、ホテルスタッフは、全員島旅のナビゲーターとなり自分が知っている島の魅力をお客さまにご案内する。連載「とんがりホテル」の第二弾は、南の島に誕生した、こんな珠玉のホテルを紹介する。
ホテルを手掛けたのはUDS 株式会社から分化した沖縄UDS 株式会社。同社は今後いくつものホテルを沖縄にオープンさせるが、その一つ目が「HOTEL LOCUS」だ。UDS は、ホテルの企画・設計・運営を一気通貫で行なっている。そのため、ホテルのコンセプトつまり、お客さまに提供する本質的な価値創造を、企画から運営まで、一切ぶれないで行なうことができているのだ。そのコンセプトとは…。