2018 年6 月25 日 有馬グランドホテルの庭園にて
日本人の繊細な気配りを映し出している日本の旅館。玄関の出迎えから見送りまで旅人の心を癒すために自然体でありながら、最善のおもてなしを施している。女将は女性にとってあこがれの仕事である。おもてなしの心が磨かれるほどに、知性、教養、立ち居振る舞いなど自身を成長させることができるからだ。そこで今回は一般社団法人日本旅館協会関西支部の石田事務局長にご協力いただき、次世代に向けて積極的に活動している4人の女将、若女将に参集いただき、現状や取り組みをお聞きした。
浴室が注意の貼り紙だらけに!
▶外国人観光客誘致4000 万人を目標に掲げ、政府バックアップのもと動き出しています。現状、2800 万人を越え今年度は3000 万人越えも見えてきました。外国人にとって日本であり、日本人に心遣いを感じられる旅館は和ブームも含めて注目されています。しかし旅館のポイントである温泉はタトゥーやマナーの違いなど、日本人の反応はいかがですか。
河原 当館は関西国際空港から車で30分ほどの犬鳴温泉の渓流沿いに建つ客室10 室の宿です。LCC 就航便が増えるほどにアジアを中心とした外国人客は増えています。特に韓国からのお客さまが増えていますね。言葉の問題などマナーの違いから日本人のお客さまからの苦情をいただくこともありますが、露天風呂と貸切風呂をうまく活用して皆さんが気持ちよく温泉を楽しんでいただけますよう対応しています。
山内 京都の祇園にて年間の180 日は修学旅行生の宿として運営しています。京都そのものは観光客としてアジアからのお客さまが増えていますが、外国人のご宿泊者は欧米人が中心となっています。外国人のお客さまは温泉になれていませんので温泉に入るためにマナー本をご用意しています。温泉に入られることも日本の文化体験の1つです。日本の生活文化を楽しんでいただくことも旅館ならではの魅力かと思います。
河原 残念ながら温泉にスマートフォンを持ち込んで撮影したものをSNS で発信される外国人のお客さまもいらっしゃいます。中にはタトゥーをされていらっしゃる方もいますので、注意事項をお風呂場に貼りだしています。最近は貼り紙だらけですね(笑)。
松井 当館は京都の中心地の四条で運営しています。新門荘さん同様、180 日は修学旅行生を受け入れています。タトゥーにつきましてはワンポイントであれば承認しています。日本人のお客さまもある程度はファッションとしてとらえていただいておりますので、今のところは苦情をいただいておりません。
當谷 当館は敷地内から湧出する金泉・銀泉をお楽しみいただける有馬温泉の旅館です。近年海外旅行客は増えつつありますが、国内のお客さま中心にご来館いただいております。タトゥーのお客さまにはご入浴をご遠慮いただいております。
不動口館 女将 河原 千晶 氏
松井本館 若女将 松井 もも加 氏
銀水荘兆楽 若女将 當谷 幸子 氏
新門荘 若女将 山内 理江 氏