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トップインタビュー 金沢 彩の庭ホテル 代表取締役社長 兼 支配人 本郷 一郎 氏

明確なコンセプトを持ってぶれない 新たなホテルモデルの確立を目指す

【月刊HOTERES 2015年07月号】
2015年07月09日(木)
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ビジネスのモデルは宿泊主体ながらも、旅館のような温かみあるサービスを取り入れるなど、時代の変化も踏まえた工夫が見られますね。
 
 昨今では宿泊主体型が新たな顧客層の開拓のキーワードとなっており、さまざまなホテルや旅館がここにアプローチをしてきていると感じています。
 ビジネスホテルからはアッパーミドルの価格層を狙ったプレミアタイプのホテルが登場し、都市型ホテルからは宿泊機能のみを持たせた第二ブランドが登場しています。一方で、旅館においても「泊食分離」の流れの中で宿泊機能と食事機能を施設の中で分離させる動きも加速しています。金沢彩の庭ホテルの開業にあたっても、宿泊主体型という時代の流れを受けながらも、機能面、施設面、そしてソフト面から、ゲストが気軽に何度でも「金沢の別邸」として暮らすように宿泊できるホテルづくりに向けて、地方都市における新たなホテルモデルの確立を目指しています。
 
平均年齢61 歳の調理スタッフなど
シニア人材を積極活用
 
❒ レストランは朝食のみといった割り切りや、シニア人材の活用という観点でも興味深い取り組みをされていますね。
 
 朝食の調理スタッフは、「金沢の名工」を受賞している料理長の竹中雅俊を中心に、平均年齢61 歳というシニア料理人計4 名のチームとなっています。竹中のようにすでに一度第一線を退いても、素晴らしい技術を持った人材はいます。それを終日の営業は無理でも、朝食に全力投球をしてもらうことで、宿泊において非常に重要な朝食の価値を高められればと考えました。
 また、ほかのシニア層の人材活用においても、コストの観点だけでなく、未経験者であってもホスピタリティがあっておもてなしができる方はいると考えたのです。
 また、サービス面においては女性の感覚を生かしたいと考え、副支配人の橋上をはじめとした女性の積極登用も行ないました。
 
サービス面では非常に力を入れられていますね。「20 分のチェックイン」は驚きました。
 
 リピーターのお客さまをターゲットとしているため、サービスには力を入れています。特に意識をしていることは、「ホテルで一話完結しない」ことです。この金沢という場所があってこその金沢彩の庭ホテルですから、スタッフが金沢のことをしっかりとご案内し、お越しいただいたお客さまに「金沢時間」をしっかりと提供できるように研修も行ないました。目標は「スタッフ全員が金沢のコンシェルジュ」です。
 特に金沢彩の庭ホテルでは、夕食場所として館外の料亭や寿司店、居酒屋などを紹介するシステムをとっていますから、フロントサービスやロビーサービスはもちろん、送迎車のドライバーであっても金沢のことについては食事のおいしい店、穴場の観光スポットまでご案内できるメンバーを研修なども行なってそろえました。
 ちなみに、私たちのホテルでは全国でも最難関と言われるご当地検定「金沢検定」において、上級合格者が1名、初級合格者が6名いるのですよ。先ほどの夕食場所のご紹介はもちろん、特に計画なくお越しいただいたお客さまにも滞在期間に応じてさまざまな観光プランのご提案ができるような体制も整えています。
 
100 人いたら100 通りのサービス
 
 多くのホテルでは100 人いても一通りのサービスだと思うのですが、金沢彩の庭ホテルでは100 人いたら100通りのサービスを提供したいと考えています。チェックイン一つとっても、いかに短時間で終わらせるかではなく、お客さまとゆっくりと会話をし、このホテルのファンになっていただける、そんなホテルを目指しています。
 細かいことではありますが、金沢彩の庭ホテルではお越しいただいたお客さまに「いらっしゃいませ」とは言わず「こんにちは」と言うようにしています。これによって、一方的ではなく、双方向の会話が始まります。
 また、駅から離れた立地は一般的には不利と見られがちですが、私たちは違います。送迎のサービスをすることで、コミュニケーションのチャンスが生まれます。そこでの会話をその後の接客に生かすことで、より満足をいただけ、リピートにつながります。つまり、ハンデを強みに変えられるのです。
 スタッフは非常に良いメンバーがそろいました。サービスを重視してリピートにつながるという考えをよく理解してくれるスタッフたちです。もともとビジネスホテルでやりたかったことをやりきれていなかったスタッフが、今ではのびのびと働いています。

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