㈱オータパブリケイションズ 執行役員
山下裕乃
向こう三軒両隣。何とも古き良き日本を代表するような言葉です。昭和45 年ごろは全家庭に電話が普及されず近隣で電話を保有している家が電話取次代理人となっていました。長屋スタイルの住宅も多く、まさに向こう三軒両隣、卵やしょうゆを借りたりなど、まるでドリフターズの人気番組「8 時だよ! 全員集合」のワンシーンでした。
今は“お隣に住む人は何人ぞ”と言わんばかりに、どのような人が壁を隔てた向こうに生活しているのか、皆目見当がつかないのが実情です。そんな状況ですから“こんにちは。卵を借していただけますか?”なんてことは言えません。それ以上に壁の向こうでは人、一人亡くなっているかも知れません。そんな物騒な、またコミュティがない時代となりました。