土地と伝統に根差したワイン造り
アポッローニオ社は南部、プーリア州のワイナリー。創業は1870 年で、当時から自社でのワイン造りをしていた。ブドウ品種はプーリア州の土着品種のみを栽培しており、地域の伝統に生産技術の進歩を順応させるワイン造りをしている。
同社を1995 年から経営するオーナーでワインメーカーのマッシミリアーノ・アポッローニオ氏は、同社の信念を自然に忠実なことだと語る。
「大切なことはブドウの栽培。畑もブドウも自然や伝統に忠実に、プーリア伝統のアルベレッロクリエーゼ仕立てでの栽培も行なっています」
年間生産量は150 万本。国内消費はわずか3%で、97%は輸出している。ワイン造りでは、発酵から大小の木樽を用いている。おおむね大樽はスロベニアオーク、小樽はフレンチオークやアメリカンオークを使用し、白とロゼにはアカシアの木樽が使われている。長期熟成を想定した長さ55 ミリの高品質コルクにも目が留まる。品質が劣化しやすいのは根に近い箇所から作ったコルクに多く、また根に近い箇所からは生産できないこうした長尺コルクを作るには、樹齢25 年以上のコルク樫が必要だという。
この日、2 種類提供されたコペルティーノDOP は地域内に3 社しかなく、生産量が少ないためイタリアでも巡り合うことが少ない。タンニンが強いネグロアマーロ70%、アントシアニンが多いモンテプルチアーノを30%の割合でブレンドし、特徴の違う2種類を合わせた長期熟成に耐えうるワイン造り。発酵はスロベニアオークの大樽で行なう。フレンチオークのバリックで熟成。ヴィンテージによって1~ 2 年の樽熟成をした後、5000ℓの大樽で再度合わせておおむね6 カ月程度。ノンフィルターで瓶詰めする。
「もちろん国際品種のブドウは素晴らしいが、私たちの土地で古くから造られてきた、土地に合ったブドウで良いワインが造れれば、それを超えるものはない」とマッシミリアーノ氏。
ソロイタリアの林氏は「150 年前のプーリアは、ほとんどが当時は農協やバルクワイン。自社のワインを自分で瓶詰めして売れる生産者は150 年前にはありませんでした。そのままワイン造りをしていてブランドになり得る稀有(けう)な存在だった」と語った。
マッシミリアーノ・アポッローニオ氏