「地方創生」が言われる中、しっかりと地域に根をはり、ユニークな試みで、まっとうな経営を行なっているオンリーワンの宿がある。われわれは、そんな宿を伝えたい。本連載は、林田研二が、自身の目で優れた宿を厳選し、取材し、写真と文章で紹介する連載企画。第4 回は、大分県・別府市の上人ケ浜公園に隣接する「GAHAMA terrace」を特集する。
伝統とモダン~現代に蘇る別府の「別荘文化」
『久留米餅の大王』と呼ばれた國武喜次郎氏の長男である金太郎氏により昭和2 年に建てられた旧國武氏別荘を、別府で人気の「潮騒の宿 晴せいかい海」が見事に現代に甦らせた。このリゾート旅館が「GAHAMA terrace」である。上人ケ浜公園に隣接する「ガハマテラス」は、3500 坪の敷地に17 室だけのホテルで、ゆったりとした贅沢な時間を過ごすことができる。波の音を聞きながらのプライベート露天風呂付きのモダンなメゾネットタイプから、桟瓦葺入母屋屋根の純和風建築の部屋までの異なる趣の客室がある。特に、195㎡の広さを誇る「クニタケヴィラ」はもともとあった3 つ部屋をつなげたもので、最大サイズのバスルームがある。その他にも、九州発の「アフュージョンシャワー」を取り入れた「スパ レスピラシオン」。オーセンティックなプールサイドバー「タピスカロイ」がある。
美酒佳肴(びしゅかこう)~大分を食す
夕食は、「割烹 松秀」では季節感と地元の食材にこだわった日本料理が、「ビストロ ヴァンヌーボ」では地元別府の食材をフレンチスタイルで味わうことが出来る。名物の豊後牛をもちいた肉料理、地元でとれた色とりどりのお造りの数々。特に「割烹 松秀」のみでしか食べられない「秘伝雲丹醤油」は、料理長自ら6時間もかけて仕込んだものであり、これを味わうためにわざわざ足を運ぶお客様も多いという。朝食は、和洋定食の選択制となっておりいずれも「自家製スムージー」でのどを潤すことから朝ははじまる。和食のおすすめは、安あじむまち心院町産の「いもり谷納豆」。安心院で採れた地元産大豆ムラユタカを使っており、ふっくり大きな粒が特徴だ。