目指すのは総合的にお茶を感じること
例えば巨大な急須のオブジェをエントランスにでも置けば、嫌でもお茶という要素に注意がいき、ホテルのやりたいことは伝わると思いますが、それでは企画色の強いホテルになる印象があり、1899 が目指すスタイルではありません。いかに押し付けでなく、お茶の価値を再発見する機会とし、大袈裟な話をすればそのお客様自身のライフスタイルに取り込んでいただけるのか。この部分の商品化は1899 にとっての大きな課題です。しかし他企業でブランディングに成功しているものを改めて思い返すとわずかなヒントを感じます。それらは、ハード、ソフト、サービス、それら全ての一つひとつが「●●らしい」と感じることができます。ハードに関しては、ロゴやキャラクターが入っていなくてもデザインや質感を通してそのブランドの世界に触れることができます。スタッフのサービススタイルを通して、そのブランドの本質的な体験をすることができます。
お茶は、お茶そのものを手に取ることができるため、お茶を物理的に置くことがお茶を感じさせるひとつの手段でもありますが、その他の部分でお茶の持つ魅力を伝えていくことが私たちの新ホテルのひとつの在り方なのではと感じました。
普段と違う環境は刺激が増え、様々なことを違う視点で見れます。今回の京都で過ごした時間は、1899 の方向性を改めて指し示してくれたものとなりました。
連載45
濱田裕章 小さな会社のブランド構築 新橋六丁目計画 開発準備
連載45 お茶があってもお茶を感じない
2018年02月02日(金)