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第28回 夏目 哲宏  今さら知らないとは言えない 「ブライダルと法律」講座

第28回 2018年のブライダル法務の流れを占う

【月刊HOTERES 2018年01月号】
2018年01月19日(金)
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要注意テーマ① 労務
 この分野において、2018 年は2 つの法律に関して大きな動きが顕在化してきます。
 まず、「労働契約法」です。2012 年の改正により有期での雇い入れから5 年での「無期転換ルール」が定められ、2013 年4 月1 日以降に有期労働契約を締結・更新した労働者は本年4 月1 日から「有期契約から無期への転換」を申し入れる権利を持つことになります。
 次に、「労働派遣法」では、2015 年の改正により派遣社員の派遣期間の制限が見直され、派遣社員は個人単位で同一の組織単位で働けるのが3 年までとなり、その最初の期限が本年9 月末となります。
 該当するスタッフがいらっしゃる事業者は、今年、必ず対策が必要となります。
 
要注意テーマ② 音楽著作権
 一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は、昨年3 月に映像製作事業者に対して使用料の支払いなどを求めて訴訟を提起して以降、主に「複製権」に関してほかの映像製作事業者への個別監査を本格化させています。また披露宴時のBGM に係る「演奏権」に関しても、使用料の未払いのあった会場に対して過去の未払い分の支払いを求める動きも見られるなど、適正処理を行なっていない(と疑われる)事業者に対しては日に日に圧力を強めてきており、本年もこの流れは続いていくと予想されます。
 
 一方で、昨年12 月に人気ロックバンドGLAY が、自らの楽曲の一部について、ブライダル関連での使用に限って「複製権」の主張をしない旨を発表したり、会場で使用する楽曲そのものや映像データの配信方法に関して従来の流れと異なる方法に基づく新サービスが続々発表されたりするなど、新しい動きも活発化する1年となるでしょう。
 
要注意テーマ③ 美容師法
 経済産業省が昨年8 月に突如発表した「婚礼日以外の日におけるメイクリハーサル」や「フォトウェディングに伴うヘアメイク」の『サービス提供場所』についての美容師法の解釈に関する見解は、業界に少なからぬ動揺を与えました。
 
 関係省庁にヒアリングした範囲では、直ちに取締りを強化することを想定した動きではないようですが、なにか一つ発生した事故を契機に規制が強化されることはめずらしくなく、対策に不充分な点のある事業者は早々に動き出すことをお勧めします。
 
要注意テーマ④ 消費者契約法
 
「キャンセル料の適正水準」や「持ち込み規制等の事前説明」をめぐってブライダル業界において頻繁に問題となるこの法律について、今、さらなる厳格化に向けての動きが見られます。
 
 消費者庁は昨年8 月に消費者契約法の改正に向けたパブリックコメントを募集し、その結果を同年10 月に発表しています。今後改正案が検討、立案され、国会へと提出されるものと思われますが、事業者の義務をさらに厳格化し、消費者保護を強める方向は変わりません。本年中にすぐ影響が出るものではないものの、議論の推移を見守っていく必要があると思われます。
 
 ブライダル法務をめぐってのここ数年のトレンドは、「規制の厳格化」と「消費者保護の強化」であり、各事業者はこうした動きに対してアンテナを張る必要があると言えるでしょう。
 
 このコラムでは、本年も引き続き「事業者の立場から」あるべき対策や理解について提言、または提案をしてまいります。ご愛読のほどよろしくお願い致します。

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