❐ 具体的にはどのような活動を行なわれているのでしょうか。
 
楡金　一例として、近隣の市町村から直接ご指名いただき、地元の食材を使った料理教室を開催するといった活動を10 年以上行なっております。生産者や主婦の方々を相手に料理教室を開くということは、普段とは違った緊張感もありますが、実に面白く勉強になります。また、釧路産の食材を使ったオリジナル商品を開発・販売しております。摩周の「キタアカリ」や「雪化粧」を使ったポタージュですとか鶴居村の「三恵豚」や「酪楽館」チーズを使ったクリーミーカレーなど、お土産としても親しまれています。この商品を発売した直後、他の市町村からも「ぜひうちの食材を使ってくれ」とお話をいただきました。
 
❐ 生産者の方々にとってもモチベーションに繋がりますよね。それではお一人お一人にお話を伺いたいと思います。森髙さんの牧場の特徴をうかがえますか。
 
森髙　うちの牧場の特徴ですが、一頭あたりの草地面積の広さが挙げられます。通常、同規模の牧場であれば、60 頭から多い場所ですと100 頭近く飼育しています。一方でうちでは30 頭と、一頭あたり2 倍から3 倍の広さを取っています。飼料も配合飼料ではなく牧草を中心で飼育しており、乳牛にできる限りできるだけストレスを与えないような飼育方法を取り入れています。こういった環境により、非常に乳質の高い牛乳が取れ、釧路太田農業協同組合から5 年連続で衛生的乳質部門の表彰を頂いております。乳質としまして、一年を通して乳脂肪分4.3％、無脂乳固形分9.0％前後と非常に栄養価の高い牛乳が取れます。甘みが強いのは当然ですが、脂肪とタンパク質のバランスが良いので後味がしつこくなく、常温で飲まれると本来の味が分かる、美味しさの分かる牛乳となっております。この牛乳から作られたチーズですが、牛乳本来の旨味がしっかりと残っており、よく「頑固なチーズ」と言われたりもします。
 
楡金　他にもその牛乳を使ったソフトクリームも有名で、牧場が町中にあるので厚岸町の名物にもなっています。
 
❐ 今後、東京に流通させる予定は？
 
森髙　以前に一度東京の百貨店さんとお取引させていただいたことがありました。ただうちの場合飼育頭数が30 頭前後と少ないので、物流コストの都合上、販売価格が高くなってしまいます。牛乳が400 円台500 円台となってしまいますと、どうしても販売は難しいですね。ただし、送料別途であればどこへでも送れますし、チーズなどの加工品は別ですので、興味のある方はぜひ牧場を訪れ、一度味わって頂きたいですね。
 
❐ ありがとうございます。次に井ノ口さんのチーズ工房ですが、どういった特徴があるのでしょうか。