写真左は小澤酒造の「澤乃井」。左から「純米大吟醸 芳醸参拾伍」「吟醸 中汲み」「東京蔵人 純米吟醸生酛造り」「大吟醸 凰袋採り雫酒」。 会席料理は酒と食材のうまみを引き出し合う献立が組まれた
懐石料理と澤乃井のマリアージュ
ホテル雅叙園東京(東京・目黒)の日本料理「渡風亭」は、小澤酒造㈱と共に会席料理と日本酒「澤乃井」のマリアージュを楽しむ1 日限定のペアリングディナーイベントを5 月24日に開催した。
澤乃井を造る小澤酒造は東京・青梅で300 年以上続く酒蔵で、蔵元の小澤順一郎氏は22 代目当主。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2017」では「純米大吟醸 芳醸参拾伍」が最高金賞、「純米大吟醸」「大吟醸」「大吟醸 凰こう」が金賞を受賞している。小澤氏は「東京の水は水質が悪いというイメージがあるが、多摩川の水は全国でも5 本の指に入るほど良い水質で、その多摩川をつくる奥多摩の水系を使って醸した澤乃井は、透明感がありきれいなお酒に仕上がっています」と述べた。酒サムライで日本酒コンサルタントの清永真理子氏とともに行なったトークショーでは、近年の海外輸出の増加傾向、アメリカのほか、ベトナムやタイなどのアジア諸国、さらにはドバイなどにも流通しており、純米吟醸、純米大吟醸のみならず、熟成酒や古酒などの人気も高まっているなど、日本酒業界の現状について解説した。
その後、4 銘柄の澤乃井「純米大吟醸 芳醸参拾伍」「吟醸 中汲み」「東京蔵人 純米吟醸生酛造り」「大吟醸 凰こう袋採り雫酒」に合わせて、同ホテルの加藤允人統括料理長による料理が提供された。前八寸には35%まで精米された米で造られた「純米大吟醸 芳醸参拾伍」を合わせた。ふくよかな香りと米のうまみに合わせ、お互いのバランスが引き立つようなペアリング。続いて、だしを合わせた上品で余韻が残るような椀盛には「吟醸 中汲み」を合わせた。原酒の力強さと上品な吟醸の味わいをもつ中汲みは、お互いが協調するような印象になる。お造り、油物には「東京蔵人 純米吟醸 生酛造り」を合わせ、鯛の昆布締め、本マグロの赤身、色とりどりの貝が、酒と料理のうまみを引き出し合うような印象。煮物には同じ「東京蔵人 純米吟醸 生酛造り」をぬる燗かんで合わせ、ほっこりするような相性を演出した。そして強肴には「大吟醸 凰こう 袋絞り雫酒」を合わせた。精米歩合35%のため上品で華やかだが、複雑で深い。滑らかだが余韻にかけて広がりがあり、奥ゆきと深みがある高貴な味わいだった。渡風亭の料理と澤乃井のマリアージュは参加者を満足させ、次回の開催を熱望する参加者もみられた。
小澤酒造は蔵見学はもちろんのこと、豊富な水を用いた湯葉や豆腐を提供しているレストランも隣接している。酒造りのプロセスや現場を知る上でも訪れておきたいところだ。
ホテル雅叙園東京
東京都目黒区下目黒1-8-1
03-3491-4111
www.hotelgajoen-tokyo.com/
小澤酒造株式会社
東京都青梅市沢井2-770
0428-78-8215
www.sawanoi-sake.com