あなたの会社、時が止まっていませんか?
会社は当然のことながら日々前に進んでいかなくてはならないのですが、ときどき見かけるのがときのが止まっている会社です。このときの止まった会社になるとどんな弊害や現象が起きるのか考えてみました。
先日、とある会社にコンサルで久しぶりに訪問しました。その会社でヒアリングを行なっていると、10 数年前に教えた通りに運営のやり方やシステムを真面目にずっと守り続けてやってくださっていました。まずそのことにびっくりしました。
しかし、守り続けている間に競合のホテル、結婚式場、レストランが今のスタイルのウェディングをどんどん研究して時代にあった提案をお客さまに行なっています。また広告もおしゃれなものに変わっていたのです。その結果、この会社は当然のことながらお客さまから支持されなくなり、成約率も落ちている状態でした。
ウェディングの商品は流行があり、次つぎと新しい情報誌やインターネットからエンドユーザーに向けて発信されています。したがってお客さまの方がウェディングプランナーより物知りであることもめずらしくありません。またウェディングが多様化し、差別化が難しい時代ですからその中で自分の会社の生き残りをかけて戦わないと存続さえも危うくなります。
商品だけでなく、社長を始め社員までがときが止まったときには、まさに化石化状態になっています。新しい商品開発するどころではなくその場しのぎで営業しています。現代はこのようなやりかたではだめですよ。このように変えていきましょうとアドバイスしてもピンとこないようです。
どのように動けばいいのか? どのように変革すればいいのか? 社長も一緒に社員と頭を抱えて悩んでしまっているので、会社の行く末はますます迷宮入りです。
エンターテイメントの世界も常に時代とともに変革しています。その一つにディズニーランドがあります。私自身も新しいアトラクションができると行ってみて体験するようにしています。時代とともに変わったと感じることは、今までは乗り物に乗って体験する、または観るアトラクションでしたが、最近数年で変わったのは個人に働きかけるしくみを組み合わせたものです。
ディズニーシーにあるタートルトークというアトラクションは映画のファイティングニモに出てくるウミガメのクラッシュが主人公です。観客席のお客さまに話しかけたり、質問に答えたりと毎回、お客さまに合わせてとても面白く話を展開させ、楽しませてくれます。またディズニーランドにあるモンスターズインクのアトラクションは乗り物に乗って最後のところで自分たちに向けてメッセージを言ってくれます。
個人に焦点をあて働きかけていくことで特別感があり、どこで私たちのことを見ているんだろうかと不思議な感覚になります。今までは全員が同じものを繰り返し乗り、体験したものが、まさに今の時代にあったアトラクションに変化させていると思いました。
映画のハリーポッターも最初の作品のときのハリーは子どもでしたが映画と共に本人が成長し青年になっていくところもストーリーとうまく掛け合わせて映画をシリーズ化させています。私たちの仕事はサービス業ですからお客さまに喜んでもらえたり、感動をあたえたりと心に働きかける仕事です。お客さまに与える側の社員が最近、あまり出かけたことありません、休日は一日寝ていますと言っていてはまず人を楽しませる新しい商品は生み出せません。自分たちが新しいものを見たり、体験しなければ新しい商品や時代の流れ、流行に敏感に反応できなくなり、ときが止まってしまいます。
社長もはじめ、会社として社員にいかに新しい体験や新しいものを見させることがとても大事です。人は見たものや体験したものからしか新しい発想が思い浮かばないからです。ときが止まらないように社員教育で発想の転換を図って外の世界に社員とともに出かけてみてください。きっと思わぬアイデアが浮かぶのではないかと思います。
〈プロフィール〉岡山市の老舗旅館、岡山石山花壇(現在のザ マグリット)の宴会営業スタッフとして入社。その後、婚礼部門を強化するプロジェクトを成功させ、年間2 組から339組までを達成したのは業界でも有名。同社にてウェディング・プランナー、マネージャー、支配人、営業企画室長、役員として活躍。また、関連会社 グレート:プランニングにてコンサルタントとして、12 年間、全国の数々のホテル、結婚式場の再生、婚礼強化に携わる。プランナー教育、マネージャー教育、経営者の良きアドバイザーとして定評がある。平成23 年、スプリングフィールドを設立。経営コンサルタント、衣裳・美容の内製化支援、式場のプロデュースを中心に現在活動中。2013 年5 月には、ニューヨーク支社を設立し、現地でもパーティーやイベントを手掛け、日本のウエディング、パーティーを広める活動もしている。