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  • バーテンダー世界大会「WORLD CLASS 2017」 JAPAN FINALは槇永優氏が優勝!
WORLD CLASS 2017 JAPAN FINAL

槇永優氏が日本大会を制し、メキシコでの世界大会へ

2017年06月25日(日)
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総合優勝の槇永氏。4 部門通して情熱がほとばしるプレゼンテーションで観衆を引き込んだ

バーテンダーの総合力が問われる2日間
 
 キリン・ディアジオ(株)は、バーテンダー世界大会の日本代表最終選考会「WORLD CLASS 2017 JAPAN FINAL」を、6月24日と25日の2日間にわたり表参道ヒルズのスペース オーを会場に開催。Bar Leigh Islay(大阪)の槇永優氏が総合優勝を果たし、8月に行なわれる世界大会への出場切符をつかんだ。
 ディアジオplcが主催する「WORLD CLASS」は“Raising the Bar”をコンセプトに“バーテンダーに必要なすべて”を問うバーテンダー・コンペティション。2009年から開催されており、9回目となる今年は60カ国2万5000人のバーテンダーがエントリーした。日本からは過去に大竹学氏、金子道人氏と2人の世界チャンピオンが生まれており、昨年の日本代表の藤井()(りゅう)氏も準優勝を飾っている。
 日本大会はキリン・ディアジオが主催・運営しており、今年の1月6日から3月16日まで一次審査書類を受け付け、この期間中には全国7カ所で「WORLD CLASS 体験セミナー」を開催。5月に東京と大阪で、一次審査を通過した50人を対象に実技による二次審査を行なった。日本代表を決めるJAPAN FINALは、バーテンダーの総合的な想像力が問われる大会だ。今年は「オリジナルカクテル チャレンジ」「スピード&テイストチャレンジ」「ケテル ワン マイブラッディメアリー&ナイトキャップチャレンジ」「ビフォー&アフターチャレンジ」の全4部門で行なわれた。

実力者ぞろいの中、優勝候補たちが部門優勝を獲得
 
「オリジナルカクテル チャレンジ」を制したのは東北の雄、ark Lounge & Bar(青森・八戸)久保俊之氏だ。初日の正午過ぎから非公開で行われたこの部門で、久保氏はカクテル「Glorious Walker」を発表した。ジョニーウォーカーが世界進出をする様をカクテルに映し出し、紅茶のベルモットやシトラス、さらに自家製の「ハニーバター ジョニーウォーカー ゴールドラベル リザーブ」、少量の塩で味の多様性を際立たせたカクテルが評価された。地元八戸の応援団が駆け付け、2日目の表彰式でこの結果が発表された瞬間は、悲願を期待してひときわ大きな歓声が上がった。


久保氏のカウンター周りの造作、プレゼンテーションには4部門を通して驚きと歓声が沸き起こった

 続いて15時から、観客が入場して公開審査が開始。「スピード&テイストチャレンジ」は8分間で8つのカクテルを仕上げるものだが、今年は制作途中で追加オーダーが入り、9杯を仕上げるもの。追加品目はあらかじめ、数点の候補が発表されていたこともあり、多くのコンペティターは落ち着いたカウンターさばきを見せた。この部門で圧倒的な存在感を見せたのが、BAR ORCHARD GINZA(東京・銀座)の宮之原拓男氏。タンカレー ナンバーテンにエスプレッソリキュールを用いて食後酒のテイストにした「ネグローニ」や、スイートヴェルモットとラガブーリン16年による「マルティネス」、コーヒーのパウダーとドン・フリオ レポサド使った「アフターディナーマルガリータ」、さらにフレッシュのオレンジにアガベシロップ、ドン・フリオ アネホを使ったリッチな仕上がりの「オールド ニュー ファッションド」など、スピードとともに創作性も高い作品を発表。追加オーダーのエル・ディアブロも落ち着いて仕上げた。
 宮之原氏は4部門目の、タンカレー ナンバーテンとジョニーウォーカー ゴールドラベルリザーブを用いる「ビフォー&アフターチャレンジ」も制した。1920年のアメリカ禁酒法時代を背景に、食前酒を禁酒法時代の光、食後酒を陰と考えたカクテルを創作した。宮之原氏は、酒を求めてフランスに渡った当時のアメリカの造り手、飲み手を想像。タンカレー ナンバーテンをベースに、同時期に製造が中止されたアブサンに替わって普及したパスティスを、それぞれを結びつけるミントとシトラス、シロップを加え、炭酸で美発泡に仕上げた食前酒「Party in Paris」を発表。ジョニーウォーカー ゴールドラベル リザーブによる食後酒は、他国から酒を密輸した当時を反映させるように、カナダのメイプルシロップ、メキシコの特産品であるコーヒーをリキュールで、キューバのラムをベースにしたアンゴスチュラビターズを苦みのアクセントに、茶色い紙袋でパッキングした“密造カクテル”を想起させる作品のプレゼンテーションが光った。
「ケテル ワン マイブラッディメアリー&ナイトキャップチャレンジ」で優勝したのが、総合優勝を果たした槇永氏。ケテル ワンの生産国、オランダに造られた「ケテル ワン ハウス」をカウンターに再現した槇永氏は、コールドプレスで絞ったフレッシュトマトジュースでケテル ワンのクリーンさを引き出した。さらにソルティウォーターメロンジュース、セロリビターズを加え、最後に柚子と木の芽を飾った「Japanesque Mary Punch」でパーティースタイルのブラディメアリーを表現した。ケテル ワンハウスで過ごす夜をイメージしたナイトキャップには「ホスピタブル ウェイ」を発表。ケテル ワンにダッチコーヒーシロップ、生クリームのほか、日本のエッセンスとしてこしあんを加えることでナイトキャップらしい重厚感さを加えた。さらに抹茶のパウダーを振りかけた。

4部門中2部門を制した宮之原拓男氏
総合2位の門間輝典氏

キリン・ディアジオの西海枝毅社長

これまでの積み重ねと安定性がつかんだ世界大会への切符
 
 総合順位の発表で、この日一番のどよめきは起こった。第3位でアナウンスされたのは、2部門で優勝した宮之原氏。明らかにショックの表情を隠せない。2位に入賞したのは、札幌プリンスホテルの門間輝典氏だ。部門優勝の獲得はなかったが、全部門の安定性がこの結果を生んだ。何より、昨年以外の過去のすべての大会でファイナリストに選ばれているその実力は口を挟む余地はない。そして、総合優勝の栄冠は前述の通り、槇永氏の頭上に輝いた。槇永氏もまた、優勝した「ケテル ワン マイブラッディメアリー&ナイトキャップチャレンジ」以外の部門でも安定して上位を維持した結果だ。2013年大会から挑戦し、ファイナルに進出し続けた槇永氏。他のコンペティションのファイナルの常連でもあり、悲願の優勝に歓声が起こった。
 槇永氏はこの優勝に「毎年エントリーし続けて今年で5回目の出場。たくさんの皆さんに支えていただいて、感謝しています」と感極まった様子を見せた。
 キリン・ディアジオの西海枝毅社長はこの大会のはじめの3~4年間にわたり、運営に携わった人物だ。西海枝社長はこの大会を振り返り「これからも皆さまと一緒によりバー・カルチャーを高めていきたい。世界大会の地メキシコに向けてぜひ皆さんに応援してほしいと思います。いつでも日本が世界チャンピオンを取れる状態を目指していきたい」と語った。
 世界大会はメキシコシティで8月20日~25日にかけて開催される。昨年のメーカー主催大会を機に、英語でのプレゼンテーションにも意欲を見せてきた槇永氏の国際舞台での活躍、新たなグローバルレベルでのスターバーテンダーの誕生に、期待が高まる。

WORLD CLASS 2017 JAPAN FINAL 出場選手と総合順位、部門優勝
 
総合優勝 ケテル ワン マイブラッディメアリー&ナイトキャップチャレンジ部門優勝 槇永優(Bar Leigh Islay/大阪府)
総合2位 門間輝典(札幌プリンスホテル Top of PRINCE/北海道)
総合3位 スピード&テイストチャレンジ部門優勝/ビフォー&アフターチャレンジ部門優勝 宮之原拓男(BAR ORCHARD GINZA/東京都)
オリジナルカクテルチャレンジ部門優勝 久保俊之(ark Lounge & Bar/青森県)

ファイナリスト(順不同)
蛯原三奈(Wine&Bar 麦家/宮崎県)
鹿山博康(BAR BenFiddich/東京都)
髙宮裕輔(au comptoir/東京都)
竹田英和(BAR霞町嵐/東京都)
永峯侑弥(西麻布Amber/東京都)
安中良史(LAMP BAR/奈良県)
*敬称略

蛯原三奈さん
鹿山博康氏
髙宮裕輔氏
竹田英和氏
永峯侑弥氏
安中良史氏
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